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ルイズ、タバサ、モンモランシー、ギーシュ。 この四名は学院長室で『土くれのフーケ襲撃事件』について、事細かに質問された。 暗くじめじめとした場所で涼んでいたカエル、モンモランシーの使い魔ロビンが、不審な人物を発見したのが事件の切っ掛けだった。 主人に異変を知らせたロビンは主人の到着を待ったが、ここで困ったことが起きた。 使い魔は主人の目となり耳となる。しかし、それはメイジが実力で使い魔を従えている場合と、メイジと使い魔がお互いを信頼している場合である。 使い魔品評会の日、モンモランシーは気が気ではなかった。 香水のモンモランシーの名の通り、彼女は水系統のマジックアイテムを調合する技術に優れたメイジだが、使い魔にさせる芸はとんと思いつかない。 ロビンが異変を伝えたのは、使い魔品評会が始まって間もない時だった。 使い魔のロビンが姿を見せないので、不機嫌だったモンモランシーには「ロビンが何かを伝えようとしている」程度にしか分からなかったのだ。 急いで宝物庫周辺にいるロビンを探しに行ったが、そこに居たのはフードを被った怪しい男。 モンモランシーはロビンを探していたので、不審な男に気づきはしたが気には止めなかった。 だが、男は、自分が盗賊であると気付かれた、と思いこみ、モンモランシーを拘束したのだ。 男は小型のゴーレムでモンモランシーを殴って気絶させ、手足を錬金した鉛で拘束した。いざという時の人質になると考え、ゴーレムでモンモランシーを運ぼうとしたときに、モンモランシーを追ってきたギーシュに発見されたのだ。 ギーシュは焦っていた。 何せ下級生女子のメイジに声を掛けられ、少し話し込んでいただけなのに、偶然横を通りかかったモンモランシーが血相を変えてで走り去って行ったからだ。 モンモランシーは使い魔のロビンを探しに行っただけだが、ギーシュは『また嫌われた』と思いこみ、慌ててモンモランシーを追いかけた。 そして、後はルイズの知るとおりである。 大怪我した者もおらず、一件落着かと思われたが、オールド・オスマンは神妙な面持ちを崩さなかった。 「だいたいの事情はわかった。しかし災難じゃったのう」 「いえ、このギーシュ・ド・グラモン、薔薇の刺が花を守るように、当然のことをしたまでです」 キザったらしい態度を、隣に立つモンモランシーに見せつけつつ、ギーシュが答える。 「………」 隣に立つモンモランシーは赤面し、目をウルウルさせている。キザったらしい態度は逆効果な気がしたが、どうやらモンモランシーにはストライクだったらしい。 ルイズはモンモランシーの隣で、心底嫌そうな表情をした。 オスマン氏は、ほっほっほと笑い、話を続けた。 「ミス・ヴァリエール、そしてミス・タバサ、君たちもご苦労じゃった。 危険を顧みずに立ち向かう行為は、誇り高い行為と言えるじゃろう。 しかし、貴族は魔法で領民を守るだけでなく、領地を治めることも意識せねばならん。 死を覚悟するのはかまわんが、無謀と勇気をはき違え、領民を混乱させるようなことがあってはならんのじゃぞ」 「「「「はい」」」」 四人は同時に答えた。 「さて、もう一つ、土くれのフーケが処刑されたという話じゃが…あれは偽物じゃ」 モンモランシーは驚いたが、他三人は特に驚きもしなかった。 土くれのフーケ操る巨大ゴーレムを破壊したのは、他ならぬ”本物の”土くれのフーケだ。 土くれのフーケは有名になりすぎ、既に二名の偽物が逮捕されている。 オスマン氏の話によると、今回の事件で逮捕された男は『鉛のゴーゾ』という男らしい。 その男が『土くれのフーケ』という名前を使い、一連の盗難事件を起こしたとして、処刑されたというのだ。 偽物を本物として処刑する。何かの作戦なのか、貴族達の面子からなのか、おそらく両方の思惑が絡んでいるのだろう。 不意に、オスマン氏が杖を振った。 バタン!と扉が開かれ、聞き耳を立てていたキュルケが、ごろんと転がり込んできた。 「ミス・ツェルプストー、盗み聞きはいかんぞ」 オスマン氏は呆れたように言った。 キュルケはばつが悪そうにしていたが、開き直って、オスマン氏に詰め寄る。 「このまま本物の土くれのフーケを放っておいて良いとは思えませんわ」 「…ほう?この部屋はサイレントの魔法で包まれておる。ミス・ツェルプストーはそれを打ち消せると言うのかね?」 オスマン氏の疑問に答えるかのように、タバサが「私がもう一体のゴーレムの話をしました」と言った。 オスマン氏は「なるほど」と言って頷くと、ここに集まった五人意外には口外無用だと伝えた。 「それにしても喧嘩するほど仲が良いとは、よく言ったものじゃのう。持つべき者は親友じゃわい」 そう言ってルイズとキュルケを見比べるオールド・オスマン、それに気付いた二人が 「誰がこんな奴と!」「誰がこんな奴に!」 と同時に叫んだ。 その様子を見たモンモランシーとタバサが「仲が良いじゃない」「類は友を呼ぶ」などと言って、 ゼロ(爆発)vs微熱の、学院史に残る戦いの火ぶたは切って落とされたのだった。 オスマン氏が「うまく誤魔化せた」とほくそ笑んでいたのは秘密だ。 かくして、土くれのフーケ事件も終え、一応の平穏が戻ったトリスティン魔法学院だが。 とても『魔法』学院とは思えないような奇妙な噂に、教師は頭を抱えていた。 幽霊騒ぎである。 事の起こりはこうだ。ある日の夜、お手洗いに行こうとした女生徒が、廊下を歩く幽霊を見たのだ。 最初は誰も相手にしなかったが、目撃者が増えるにつれ、その噂は信憑性を増していった。 もう一つは、謎の『小物紛失事件』である。 夜眠っている間に、部屋にある道具が移動している。 最初は使い魔の悪戯かと思われていたが、 魔法も唱えていないのに宙に小物が動いたとか。 魔法の気配もないのに扉が開いたとか。 誰もいないはずの廊下で何かにぶつかったとか。 そんな体験談を話す生徒が増え、ついに幽霊退治の話が持ち上がった。 「で、何で私が手伝わなきゃいけないのよ」 ルイズの部屋には二人の客が居た、キュルケとタバサである。 「得体の知れない相手には得体の知れない魔法が聞くかもしれないじゃない」 「な、何よその言いぐさはぁ!」 タバサは喧嘩の始まりそうな二人を制止してから、ルイズに頼んだ。 「貴方の力を借りたい」 タバサの言い分ではこうだ。キュルケのファイヤーボールは相手に向かって飛んでいく。自分の風の魔法は小型の竜巻も起こせるが、発生の予兆を関知されるおそれがある。 それに比べてルイズの魔法は、杖を持って呪文を唱えるだけで、突然爆発する。 爆発の予兆は他の魔法に比べて判別しづらい…らしい。 「それにこの子、幽霊とか苦手なのよ」 キュルケが言うと、普段感情を見せないタバサにしては珍しく、キュルケを恨めしそうに見つめた。 黙っていて欲しかったらしい。 ルイズにしても幽霊には良い思い出はない。 アンリエッタ姫と遊んでいた頃、姫を驚かそうとシーツを被り、幽霊のフリをしたことがある、 困ったことに姫も同じ事を考えており、シーツを被った二人は廊下で鉢合わせして、仲良く気絶してしまったのだ。 そんな負い目もあるので、ルイズは幽霊退治を引き受けることにした。 「で、どうするのよ」 ルイズが質問すると、体より大きい杖をカツッと地面に突き立て、タバサが答えた。 「三人で行動、幽霊を発見したら全力で殲滅」 「ちょ、ちょっと…」 さすがのキュルケも焦る。こんな過激なことを言うとは思わなかったからだ。 それにタバサの実力もある程度は知っている。覚悟を決めたタバサと、ルイズが全力を出したら、建物が半壊、いや全壊してしまうのではないかと危惧した。 「そ、その前に、本当にそれが幽霊なのか確かめてからにしなさいよ」 ルイズも冷や汗をかきながら提案する。それぐらいタバサの覚悟には迫力があった。 タバサはしばらく考えてから、渋々頷いた。 そんなわけで、その日の夜から、ルイズ・タバサ・キュルケによる見回りが始まった。 タバサは風の魔法で周囲を探知、キュルケは日の魔法で暗がりを照らし、ルイズはその後をついていくだけだった。 見回りの最中、半裸の女生徒と男子生徒、頬を染めて抱き合う女子生徒二人、頬を染めて抱き合う男(略等々、余計な者を発見してしまうことも多かった。 ただ、見回りが功を奏したのか、見回りを始めてから幽霊を目撃したという話は出なかった。 一週間目のことだ。ルイズは半ば呆れていたが、キュルケとタバサは至って真面目に幽霊を探していた。 タバサは幽霊が苦手なだけでなく、幽霊を見たと言っていたので、意地になるのは分かる。 しかしキュルケが毎晩タバサと行動を共にするのを見て、少しばかり羨ましく感じていたのも事実なのだ。 呆れながらも行動を共にしてくれるルイズに、言葉にはしなかったものの、キュルケとタバサは感謝していた。 「ふわ……」 最後尾で欠伸したルイズに、キュルケが気づき、今日は終わりにしようと提案した。 タバサは無言で頷くと、部屋に戻るための最短距離を選び、歩いていった。 ルイズは廊下から外を見た。空には月が二つ浮かんでいる。 月を見ると思い出す。加速した世界の中で闘っている自分…いや、自分ではない誰かを。 不意に、頭を真っ二つに切り裂かれる瞬間が思い浮かぶ。 その時は、自分の精神エネルギーも一緒に切り裂かれていたはずだ。 真っ二つに切り裂かれたそのエネルギーの名前は、確か『スタープラチナ』 ギーシュとモンモランシーが潰されそうになった時、不意に叫んだ名前と一緒だ。 ルイズは背筋が寒くなり、歩みを止めた。 「ルイズ?」 ルイズが歩みを止めたのに気付き、キュルケが後ろを振り向く。 タバサもそれにつられて振り向いた。 「…あ、何でもない。ちょっと考え事してただけよ」 そう言ってキュルケとタバサに近づこうとしたが、どうも二人の様子がおかしい。 キュルケは褐色の肌が黒く見えるほど顔を青ざめ、 タバサは白い肌が真っ白になるほど呆然としている。 そして、二人とも、ルイズではなく…ルイズの後ろを見ていた。 ルイズが後ろを振り向いてカンテラを掲げると… 顔を真っ二つに切り裂かれた大男が ルイズの持ったカンテラに照らされて 半透明でぼやけた姿を漂わせていた ドカン! 突然の爆音と共に、使用人部屋の扉が吹き飛ばされ、シエスタは飛び起きた。 それと同時にシエスタの体に、何かがぶつかってきた。 「 ! ? !!!! ??? !?」 突然体を拘束されてパニックに陥りそうになるたシエスタだが、 月明かりによって、ルイズと他二人の貴族に抱きつかれているとすぐに気が付いた。 ガクガク、ブルブルと震えてた三人に抱きつかれたまま、シエスタは朝を迎えることになる。 翌日 厨房付きのメイド、シエスタは ルイズ・タバサ・キュルケ三人の貴族の極秘命令により 三人の下着を洗濯することになったとか。
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レコン・キスタの奇襲により開始されたタルブでの会戦は、二日も経たず終わりを迎えた。 トリステイン王国王女アンリエッタ・ド・トリステインと、アルビオン王国皇太子ウェールズ・テューダーの手によるオクタゴンスペルにより、アルビオン軍は艦隊及び地上軍の大半を喪失。 竜巻の直撃と、竜巻に巻き込まれた艦隊の直撃を受ける事無く、幸運にも辛うじて生き残った兵達は、始祖の子孫達の恐るべき魔力を目の当たりにした為にそのほぼ全てが投降、もしくは逃走を図った。 タルブ平原に駆け付けたトリステイン軍は、逃走したアルビオン兵の捕縛に杖を振るう事となった。 その顛末を、ルイズは知らない。 タルブ平原に艦隊を突き立てた竜巻の後に発生した、まるで太陽が地表に生まれたかの様な光球を生み出した張本人である彼女は、ジョセフが操っていたゼロ戦が空に見えなくなったのを見届けた後、身体の底から湧き上がる激情に押され戦場を後にしていた。 自分が伝説の虚無の担い手である事も、敬愛するアンリエッタを救えた事も、今のルイズには何の価値とてなかった。 ――失った。無くしてしまった。 自分の手で、使い魔を、ジョセフ・ジョースターを帰してしまった。 もう二度と会う事が出来ない。 別れを交わす事も出来ず、感謝を述べる事も出来ず。 あんな『ひこうき』で来なくてもいい戦場までやってきて、最後の最後まで関らなくてもいい危険に関ってきた恩人に、何も自分は報いてやれなかった。 鞍の上でルイズは、人目がないのをいい事にひたすら泣きじゃくっていた。 涙が枯れ果てても、喉が嗄れ果てても、それでも悲しみは涸れなかった。 日が落ち、二つの月と無数の星だけが照らす夜道を一人、ただ馬を進ませ、悲しみに暮れる以外ルイズは何もしなかった。 魔法学院に帰り着いたのは、東の空が僅かに白み始めた頃。寝ぼけ眼を擦りながら出てきた馬子の前で馬から下りた後は、幽霊の様なおぼつかない足取りで寮へと向かうしかない。 鉛の様に重い身体を強引に引っ張り上げる様な気持ちのまま、やっと辿り着いた何日ぶりかの自室のドアの前で、ドアノブに手を伸ばそうとし、ノブを握ろうとし、扉を開けるまでの段階でそれぞれ重大な決意を経過した後、ドアを軋ませながら開いた。 双月の光だけが部屋を照らす中、つい数ヶ月前までそうだった部屋を見れば、また悲しみが膨れ上がる様に込み上げてくる。 ジョセフがいない。ジョセフがいない。もう、帰ってこない―― サモン・サーヴァントで図体のでかい老人を召喚してしまった時の失望から、掛け替えの無い存在になるまで、本当にあっと言う間だった。 使い魔はメイジの半身だ、と言う言葉の意味を、ルイズはひたすらに痛感していた。 「う……うあっ、ううぅ……」 もう泣きたくなんて無いのに、体の中から嗚咽が昇ってくる。 ベッドに突っ伏し、布団を被り、枕を抱き締めて泣きじゃくろうとベッドに向かう直前に、机の上に残されたジョセフの帽子が目に入る。 それと同時に、帽子の下に置かれた便箋が目に入ったのは、ほんの偶然だった。 「……手紙……?」 ぐす、と鼻を啜りつつ、ジョセフが残して行ったのが明白な手紙を今読もうとする気になれたのは、馬の上で十分に泣いていたからだろう。 帽子を摘み、きゅ、と両腕で抱いてから、便箋を手に取る。 「…………?」 内容自体はすぐに読み終わる。 しかし、意味が判らない。 文法が支離滅裂だとか、字が汚くて解読不能だからではない。 走り書きで書かれた文面は、これだけだった。 【ルイズへ。わしが元の世界に帰ってから15日後、もう一度サモン・サーヴァントを行え。出来れば広い場所で。コッパゲと、ジェットに選ばれた友人達も立ち合わせとけ】 「ん、んんんん……?」 今の今まで悲しみばかりに支配されていたのも、どこかへ消え失せてしまった。 ジョセフが何を意図してこの最後の手紙を書いたのかが、全く判らなかったからだ。 一度使い魔になった動物は、死ぬまで使い魔のままだ。 使い魔がいるメイジがサモン・サーヴァントを唱えても、ゲートが開く事は決してない。ゲートが開く場合は、使い魔が死んでいなければならない、が。 「……ジョセフが自殺するとか、有り得ないし」 誰に聞かせる訳でもなくそう呟くと、ベッドに腰掛けて眉間に皺を寄せる。 ルイズには確信があった。 ジョセフ・ジョースターは、そんなつまらない事で死んだりしない。 いくら可愛がっている主人の為とは言え、新しい使い魔を呼び出させる為に自分で死を選ぶ人間ではない。 では、自分は死なずに向こうの世界で生きているとこちらに知らせる為? 「……だったら、15日後でなくていいじゃない」 そう、意味が判らないのはわざわざ15日後と指定している事。 自分の生存表明をさせる様なイヤミをするはずがないのも、ルイズは十分に承知している。 では、一体この別れの挨拶が意味しているものは何なのか。 そして、自分一人ではなく、友人達も立ち会わせる理由は何か。 意味の判らない事をするとしても、意味の無い事をジョセフはするだろうか? 「…………この手紙を書いたのは……、この部屋を出て行く前よね」 急いで部屋を後にしなければならない状況の中、これだけの文章を残せれば自分の目的を果たせるとジョセフは判断したと言う事だ。 「…………判らない、判らないわ」 この手紙を残す意図が判らない。 別れの挨拶にしては、余りに情緒がない。最後のメッセージとしては、余りに意味が判らない。 ルイズは手紙の意味を考えるのを放棄した証拠として、背中からベッドに倒れ込んだ。 生まれて初めて自分の系統に基づいた正しい魔法を行使した身体は、ルイズが考えているよりも強烈な疲労を蓄積させていた。 そのまま深い眠りに落ちた結果、ルイズがもう一度目覚めた時には夜闇の中で月が煌々と輝いており、丸一日完全に眠りの中で過ごしたと気付くのにもう少しばかりの時間を要する事になったのは、また別の話である。 ☆ ――ジョセフが日食の輪を潜り抜けてから、15日後の昼。 あの日サモン・サーヴァントでジョセフを召喚したアウストリの広場に集まったのは、ルイズとコルベール、そしてジェットに選ばれたキュルケ、タバサ、ギーシュの合わせて五人。 ウェールズ本人は今となってはアルビオン亡命政府の長、つまりはアルビオン王国の王となっている。 共に手を携え、アルビオン軍をウェールズとアンリエッタの二人で撃破した華々しい物語は、トリステインのみならず近隣諸国にも轟き渡った。 アンリエッタ王女の政略結婚は土壇場で解消し、改めてトリステイン、ゲルマニアの軍事同盟にアルビオン王国が加盟する事がつい先日決定した所である。 トリステインはほぼ壊滅したアルビオン神聖帝国の数少ない残存兵を取り込んで、現在はアルビオン大陸の簒奪者達を如何に仕留めるか、そして気が早い者はアルビオン大陸を如何に切り分けるかを話し合っている真っ最中。 晴れて王冠を戴き、トリステインの新たな女王となったアンリエッタは、最愛のウェールズ国王との婚姻の儀を挙げる為、多忙な日々を過ごしているのだった。 「しかし、僕もジョジョが残した手紙の意味がついぞ判らなかったな。何にせよ、ルイズがサモン・サーヴァントを行えばその意味も判るんだろうけれど」 穴の中から頭と両前足を出しているヴェルダンデを抱き締めたまま頬擦りしながら、ギーシュが今日集められた全員の気持ちを代弁する。 ジョセフが指定した面々に手紙を読ませてみても、ジョセフが意図しているであろう目的を考え付いた者はいなかったのである。 「まあ、後はちゃあんとルイズがサモン・サーヴァントを成功させるって言う最大の難関が待ち構えているんだけど。大丈夫、ラ・ヴァリエール?」 相変わらず、ルイズを小馬鹿にした笑いにも、ルイズはふんと鼻を鳴らして答えた。 「御心配痛み入るわ、ツェルプストー。これでもコモン・マジックは成功する様になったのよ。いつまでもゼロだとか言われてるだけの私じゃあないって事よ」 いつも通りの口喧嘩が始まるのは華麗に無視し、タバサは地面に座ったまま読書を続けていた。 虚無の系統に目覚めてから、正しい魔力の使い方を身体が理解したのか、初歩的な魔法を使うのに不自由は無くなった。四大系統の魔法は何一つ使えないにせよ、ルイズにとっては大きな進歩だった。 とは言え、虚無の担い手である事はアンリエッタにも話していない。 伝説の系統に目覚めた事を自慢して回る気には、どうしてもなれなかったのだ。 ゼロのルイズで無くなった喜びは確かにあるが、ジョセフとの別れを引き摺ってしまっている事が何より大きく、それに加えて手紙の謎が気になっているのもあった。 あの日から何度も何度も読み返した手紙をポケットから取り出すと、もう一度文面を読み返してみる。当然意味は判らない……が。 (……今になったら、この手紙は本当に助かったわ。もっと意味が判る手紙だとしたら……まだ部屋で泣いてたかもしれないもの) 主人が泣き腫らして部屋に帰って来る事を考えて、ジョセフはこの手紙を書いたのだろうか。 だとすれば、随分と気配りが行き届いていると言うか、全てお見通しと言うか。 スカートのポケットの中に入れている手紙を、愛しげに指先でもう一度触れてから、進級試験の日と同じ面持ちで立っているコルベールに、ルイズは静かに視線を向けた。 「準備はいいかね、ミス・ヴァリエール」 コルベールの問い掛けに、ルイズはしっかり頷く。 ルイズの一連の仕草を見つめ、コルベールは知らず微笑を浮かべていた。 あの進級試験の日とは、ルイズの態度は比べ物にならないほど堂々としたものだった。 ゼロのルイズと馬鹿にされ、劣等感の塊だった少女はもういない。 ここに立っているのは、貴族と呼ばれるに相応しい立派なメイジの一人だった。 (ジョースター君。君がミス・ヴァリエールの使い魔で、本当に良かった。たった二ヶ月足らずの時間を分けてもらったお陰で、彼女は救われる事が出来たのだから――) 日食の輪の向こうへ去った友人に、心の中で礼を述べる。 そして教師としての眼差しで、ルイズを見やる。 「では、ミス・ヴァリエール。サモン・サーヴァントを」 「はい」 すう、と一つ息を吸い、ゆっくりと吐き出す。 ジョセフがいつも行っていた波紋の呼吸の様に、大きく長い深呼吸。 そして愛用の杖を掲げると、朗々と召喚の呪文を唱えていく。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし、"使い魔"を召喚せよ!」 呪文の完成と同時に、勢い良く杖を振り下ろす。 次の瞬間――白く光る鏡の様なゲートが、完成した。 誰かが息を呑んだ音が、無闇に大きく聞こえた。 契約した使い魔が生きている場合、ゲートは開かれない。 ゲートが開かれていると言う事は、つまりジョセフは死んだと言う事実を厳然と示すものだった。 サモン・サーヴァントのルールを知らない者は、ここにはいない。 「ル……ルイズ!」 ゲートを閉じるんだ、と続けようとしたギーシュの言葉が、思わず飲み込まれた。 ルイズは、ゲートから目を背けていなかった。 そこには、“信頼”があった。 盲目的でも依存でもなく、ジョセフ・ジョースターと言う人間を信じる輝かしさ。 ゲートから照らされる光だけではなく、ルイズの立つ姿そのものから光が発せられている様な、そんな錯覚さえギーシュは感じてしまった。 ゲートが開かれてから、ほんの数秒。しかし、これから何が起こるのかを固唾を呑んで見守る全員には、とんでもなく長い時間が経過した様に思われたその時―― 「ゲートの前からどいとけッ! デカいのが行くぞォーーーーッ!!」 聞き間違えようが無い。 ゲートの向こうから聞こえた叫び声は、ジョセフの声だった。 そして次の瞬間、メイジ達は信じられない光景を目の当たりにする事になる。 爆発にも似た轟音が断続的にゲートの向こうから聞こえ、ゲートが奇妙に大きく引き伸ばされたかと思うと、見た事の無い“何か”がゲートの中から現れてくる。 タバサが杖を一振りし、風のロープでルイズを掴んでゲートの前から引き離した。 ゲートを潜り抜けて来たのはピカピカと鮮やかな紫に輝く、巨大な物体。その大きさと言えば、まるでちょっとした建物並。そんな物体がスムーズにゲートを潜り抜けてくる。 紫色の部分が出終わったかと思えば、その後ろからは紫の物体に負けず劣らず巨大な、銀色の長方形。紫と銀の物体には、人の背丈程もある黒々とした車輪が幾つも連なっており、巨大な物体達には似つかわしくないスムーズな前進を可能としていた。 一つの長方形が出終わったかと思えば、その長方形に繋がってまた同じ形の長方形が出てくる。そして合計三つの銀の長方形が出終わると、召喚を終えたゲートは閉じてしまった。 「な、な、な……」 生徒達を見守り指導するコルベールでさえ、想像を絶する召喚に意味のある言葉が出ない。 年若い少年少女達に至っては、度肝を抜かれたと言う言葉そのものの表情で、ただ出てきた物体を見上げる事しか出来なかった。 それはアメリカントラックと呼ばれる、アメリカの緩い規制の産物とも言える巨大トラック。日本では「コンボイ」と呼ばれる事が多く、ロボットにトランスフォームするトラックとして有名な、トラックであった。 だがしかし、ここにいる全員はそんな名前など知る由も無い。 「……ぅぉーぃ」 鳴り止まないエンジン音の中、微かに聞こえる呼び声に気付いたのは、風のメイジであるタバサだった。 召喚されたコンボイの先頭、紫の物体の中からその声は聞こえてくる。 よく見てみれば、紫の物体の正面上側には巨大なガラス窓がはめ込まれており、横側には数段の階段が取り付けられたドアが付いている様だった。 タバサは短い呪文を一言唱えると、ガラス窓の高さまで浮き上がって中の様子を窺った。 ガラス窓の向こうには黒光りする座席があり、その上にはジョセフが腰に佩いていた大剣、デルフリンガーが鞘から半ば抜かれて横たわっていた。 宙に浮いて自分を見つめるタバサに気付いたデルフリンガーは、かちかち柄を鳴らす。 「おお、久し振りだな。とりあえず横のドア開けてくれっか、うるさくて仕方ねぇだろ」 タバサはこくりと頷くと、そのままドアに連なるステップに着地し、ドアノブだと思われる凹みに指を掛けてドアを開いた。 「んじゃあ、そこに鍵が掛かってるだろ。それを捻ったらエンジンが止まる」 その言葉に視線を巡らせると、確かに穴に刺さった鍵がある。華奢な手を伸ばし、鍵を捻ると鳴り響き続けていたエンジン音がゆっくり途絶えて行った。 「さぁてと、だ。元の世界に帰った相棒からお前らに手紙とプレゼントを言付かってるんでな。いいモンばっかりだぜ、俺っちがありもしない腰抜かすくらいにな」 くく、とデルフリンガーが笑う。 タバサは軽口に笑う事もなかったが、興味深そうに青い瞳を剣に向けた。 剣の横には手紙の束が置かれており、その一番上に置かれた封筒には『わしの親愛なる友人達へ』と書かれているのが見えた。 「一番上の手紙は全員で読んでほしいってよ。それぞれの手紙は別に書いてあるぜ」 タバサは無言で手紙の束を手に取り、今までに触った事のないつるつるした手触りの紙に一瞬だけ視線を留まらせてから、自分とデルフリンガーに風を纏わせて運転席から地面へと降りる。 手に持った手紙の束から一番上の封筒を取り出し、ルイズへ向けて静かに差し出した。 「……この手紙は、あなたの使い魔が書いたもの。なら、あなたが語って読むのが筋」 「――そうね」 差し出された手紙を受け取ると封筒を破り、中に入っていた数枚の便箋を取り出す。 便箋に書き連ねられた文章は、確かにジョセフが書いたそれ。 文面に視線を寄り添わせながら、内容をゆっくりと語り始める。 『この手紙がお前達に届いたと言う事は、わしの計画は全て上手く行ったと言う事だ。――ろくに別れの挨拶も出来なかったが、手紙で済ませる不義理を許してほしい』 ルイズの声で紡がれるジョセフの口調に、その場にいる全員がしっかりと耳を傾け。ルイズも時折息継ぎを挟みながら、使い魔からの最後の手紙を読み上げていく。 『そうそう、もし心配しているのならわしは無事に元の世界に戻り、お前達が手紙を読んでいる今も元気にピンピンしとるので心配せんでいい。わしからの手紙とプレゼントを贈る為、そしてルイズに使い魔を返す為にわしは考えた』 そこまで読んでから、不意にルイズの眉根が寄る。数度同じ箇所を読み返し、んん、と疑問めいた声を上げるルイズに、続きを待ち兼ねたギーシュが怪訝げに問いかけた。 「どうしたんだねルイズ。文章の綴りが間違ってるのかい?」 何度も同じ場所で視線を行ったり来たりさせているルイズに全員の視線が集まった所で、ルイズは文章の理解を諦めた。 「…………ねえ、私には理解が及ばないわ。誰か私の代わりに理解してくれないかしら」 そう言うと、その問題の箇所を指で示しながら全員に便箋を見せた。 文面を読んだ全員の視線が、ルイズと同じ様に何度も往復する動きを見せる間、余り表情を変化させない事に定評のあるタバサでさえ、その端正な顔に紛う事のない疑問を浮かべている。 他のメンバーに至っては、これ以上ないくらいに「理解不能」と顔全体で語っていた。 そこには、こう書かれていたのだった。 『……メイジと使い魔は一心同体、どちらかが死ぬまで使い魔の契約が切れる事はない。つまりルイズとの契約を破棄する為には、わしが一度死に、もう一度蘇生しちまえばいいと考えた――』 「……ん、んんん?」 何度も文章を読み返す中、必死に理解しようとする誰かかの吐息めいた声が知らず漏れるのを咎めたりする者もおらず、次の文章は更にメイジ達の理解を拒んでいた。 『どうせそっちに行くほんのちょっと前には、わしの爺さんの身体を乗っ取った吸血鬼に全身の血を抜かれて四分ほど心臓が止まった後に、吸血鬼の死体から取り返した血をもう一度身体に入れてから、心臓を無理矢理動かして蘇生した事もある。 たかだか一分くらい心臓止めただけで、わしが死んだとルーンが判断した時には少々拍子抜けもした』 さして長くもない文章が、大量の奇妙を内包している。 長い沈黙を経た後、意を決して口を開いたのはギーシュだった。 「……ここで一番僕達がすんなり納得できるとすれば、ジョセフが大分とホラを上乗せしているんだと考えるのが自然だと思うんだが、みんなはどう思う」 今まで培ってきた常識が根底から置いてきぼりにされた中、キュルケが辛うじて言葉を絞り出す。 「……そもそも吸血鬼に全身の血を抜かれて、取り戻した血をもう一度身体に入れて、心臓をもう一度動かして蘇った、って一連の言葉の意味が全く判らないわ。今までそんな言葉聞いた事ないもの」 ハルケギニアで初めて紡がれた言葉は、全員の脳裏に共通の疑問を生み出した。 ルイズは全員を代表するつもりもなく、生まれたばかりの疑問を口にした。 「……ジョセフの世界って一体どんな世界なのかしら」 『ひこうき』もそうだが、まるで想像も出来ない様な世界である事は疑い様もない。 ルイズは一つ小さく息を吐くと、考えても判らないジョセフの世界について考えるのを一旦放棄した。 「ほら、手紙の続きに戻るわよ。これ以上考えても多分判らないもの」 その言葉に、それもそうだと区切りを付けた全員に向けて、ルイズは朗読を再開した。 『が、それ以上に、これでルイズに残した手紙に書いた約束を守れる安心の方が大きかったのはマジなとこじゃ……』 「って何よこれ。いきなり砕けて来たわね」 「ここまで真面目な文体で書いてきたけど、そろそろ飽き始めてきてるのが目に見える様だわ」 「ジョジョにしちゃ大分もった方だと僕は思うなぁ」 口さがない部類の友人達の寸評を受けながらも、文面は唐突に終わりを迎えていた。 『そこで無事に帰れた記念に、わしの可愛いご主人様と掛け替えない友人達にささやかなプレゼントを用意した。それぞれに向けた手紙にわしからのメッセージと目録を書いてあるから、ケンカせずに仲良く分け合ってくれ』 ルイズがそこまで読み終えると、全員の目はコンテナへと向けられたのだった。 ☆ 『コルベールセンセへ。 センセへのプレゼントは、トラックとトラックの設計図。それからゼロ戦を一機用立てようかとも思ったんじゃが、流石にムリじゃった。わしの世界じゃ五十年前の骨董品で、残存数もほとんど無かったモンですまん。 代わりに、新品のセスナと設計図、ゼロ戦のエンジンのレプリカを用意した。二番目のコンテナに積んであるから、好きなだけ研究してくれ。いずれそっちでも飛行機が飛ぶのを期待しておるよ』 コルベールの研究室の横に、新たな掘っ立て小屋が建築された。 その中には固定化の魔法を施されたセスナが堂々と鎮座しており、コルベールが今までに見た事もない素材で作られた座席が彼の最高の居場所になっていた。 ジョセフからの贈り物であるセスナの設計図と、何度も分解しては組み立てて構造を把握したエンジンを見比べながら、もう二度と会えない友へ言葉を向けるのは最早日課となっていた。 「なあ、ミスタ・ジョースター。君の贈り物は決して無駄にはしないぞ。魔法に頼らず、誰にでも仕える立派な技術を開発してみせる。それが君に出来る、私からの返礼になるだろう……」 そしてコルベールは羊皮紙に向き直る。 自分自身で作り上げる新たなエンジンの開発の為に。 ――ジャン・コルベールはジョセフから送られたセスナとエンジンを研究し、パトロンの協力を得て飛空船オストラント号を開発。後年、ハルケギニアで初めて作られた飛行機での飛行に成功する。 『ギーシュへ。 お前へのプレゼントの一つ目は、わしの世界で流通しとる金属だ。名前はアルミニウム、軽くて丈夫で加工し易いのが取り柄だが、精製するのにえっれえエネルギーを必要とするのが玉に瑕ってトコロじゃな。 二つ目はアルミニウムの原料になるボーキサイト。熱帯雨林や熱帯雨林があった土地辺りによく鉱床があるらしい。コイツの粉末を吸い過ぎると肺をやられて四年くらいで死ぬから、取りに行く時はマスクをちゃんと付けておけよ。 三つ目がアルミニウムから作ったジュラルミン、四つ目がジュラルミンを更に強化した超ジュラルミン、五つ目が超ジュラルミンを更に強化した超々ジュラルミンじゃ。 コンテナもこの超々ジュラルミンで作られておる。お前も軽いだけの男でなく、軽いくせに使い勝手のいいアルミニウムの様な男になれよ』 一旦そこで文章は締められていたが、便箋とは別に小さな紙片に走り書きされた追伸も添えられていた。 『あ、そうそう。浮気とかマジやめとけ。甘く見とると命落としかねんぞ』 ギーシュに贈られたのは、未知の金属のインゴットと、その原料になる原石。それと何やら、切羽詰った忠告。 時折親愛なる友人からの手紙を読み返す度、ちょっとした苦笑は抑えられない。 「なんだい、破天荒な英雄にしちゃ随分と至らない所があるじゃないか」 たった二ヶ月の付き合いで、一生忘れられないインパクトを残して去って行った親友。 故郷に帰った時に、きっと修羅場か何かあったのだろう。アルヴィーズ大食堂での一悶着など比べ物にならないような、本物の修羅場が。そうでなければ、わざわざ本文とは別の追伸を書いて渡すはずがない。 後先考えず、昨日今日出会った友人を守る為に未知の敵との戦いを恐れない男でも、ちょっとした欠点がある。 ギーシュが様々な壁にぶち当たり心が折れそうな時、手紙を読み返してジョセフと愉快な友人達との騒々しい日々を思い起こし、心の支えとする。 あの騒々しい年甲斐のない友人と別れてから、もう十年以上になる。 最後の追伸を自分の胸の中だけに秘めておいたのは、親友への情けであった。 「きっと君は元気にやってるんだろう。僕もそれなりに元気にやってるし、モンモランシーも泣かせたりはあんまりしてない。長生きしたまえよ、ジョジョ」 もう二度と会う事のない親友に思いを馳せながら、手紙を左の胸ポケットへと仕舞った。 ――ギーシュ・ド・グラモンはグラモン家の四男として様々な戦功を挙げると共に、新種の金属『グラモニウム』の発見、開発に成功する。後に「グラモニウム」の二つ名を名乗り、愛妻との間に数人の子を生し立派な軍人となる。 『タバサへ。 お前へのプレゼントは、わしの世界で一番旨い牛一頭分の肉と、その牛の番いじゃ。 既に食える処理はしてあるから、マルトーに料理してもらえ。それと食べる時にはミスタ・オスマンにもお裾分けするといい。もしあんまりお気に召さんかったら、番いも潰して適当に食べてしまえばいい。 じゃが、食べた後にタバサはこう言うじゃろう』 「――私が今まで食べていたのは、サンダルの底だった」 手紙の最後に書かれていた言葉を読んだ上で、改めて口にしなければならないほど旨い牛。 ただ切って焼いただけのシンプルなステーキだと言うのに、熟れた果実を切る様にナイフが通り、噛めば噛むほど上質な脂が口一杯に迸る肉。 これに比べれば今まで食べていた“牛肉”など、サンダルの底でしかない。 「こいつぁすげえ……。俺達料理人の仕事は、そのままじゃ食べられない材料に手を掛けて食べられる様にするのと、より旨い飯に仕立てる事だ。まさか、材料の時点から手を掛けるだなんて、その発想自体が目から鱗ってヤツでさぁ……。 この牛があれば、ハルケギニア中の料理が全部引っくり返るのは言うまでもありませんや」 実際にこの牛肉を調理したマルトーが、同席しているオスマンに感嘆を惜しまない声を掛ける。 オスマンに出されたステーキがタバサのより明らかに小さいのは、三桁以上の年齢を重ねた老人が食べるにはパンチがあり過ぎると言う配慮ではあったが、オスマンは構わずぺろりとステーキを平らげていた。 「確かに旨い。わしも長く生きてきたが、こんなステーキは食べた事がない。しかし……これだけの牛を育てるのには、それに見合った手間がかかるようじゃな?」 口ひげに付いた肉汁をナプキンで拭きながら問い掛ける言葉に、タバサが小さく頷いた。 「――手紙に同封されていた手引書に寄れば、トウモロコシを食べさせ、ビールを飲ませ、毎日全身を決まった工程で刺激する。なおストレスを与えない為に、音楽を聞かせる、と書いてある」 淡々と告げられる言葉に、マルトーがカーッ、と声を漏らして顔に手を当てた。 「ちぇっ、いずれ潰されて食われる牛だってのに、まるでお貴族様の様な生活じゃねえですかい。いや、これだけの肉になるにゃそれだけの手間を掛けなくちゃならねえってことなんでしょうがね」 「ハルケギニアにいる牛も、それなりの味にする為の方法も提示されている。彼がもたらした牛には劣るだろうが、それでもこれまでに比べれば、きっと革命を起こすのは確実」 二人の言葉に鷹揚に頷くと、オスマンは料理長に視線をやった。 「まあとりあえず、今度はもっと分厚いレアで焼いてもらおうかの。わしはまだまだ長生きするつもりなのに、これだけ旨い肉を食う機会を無くしてしまうのは、余りに惜しい」 愉快げな笑みを浮かべるオスマンに、マルトーは満面の笑みで答えた。 「承知しました、そちらのお嬢さんもで?」 「次はこの牛の内臓が食べてみたい。適当な所を見繕って出してほしい」 表情を変えないまま、貴族が口にしない下手物を所望する小柄な少女にマルトーは恭しく一礼すると、厨房へと戻って腕によりを掛ける事にした。 ――タバサは後に、オスマンとの共同研究により動物や植物の品種改良技術の基礎を確立する。その中で『黄金より貴重』とまで言われる最高級牛の繁殖に成功した。 なお余談ではあるが、使い魔である竜へ事ある毎に最高級牛の品種名である「コービー」の名を付けようとして必死に拒否されるのは、タバサをよく知る者なら全員知っている奇癖であった。 『キュルケへ。 わしがお前にプレゼントするのは、わしの世界での最新ファッションのカタログとヘアカタログを一揃えじゃ。普段使い用の他に、お前の実家の宝物庫に収める分もワンセット用意しておいた。 前にシエスタを助ける為に譲ってもらった家宝の本の代わりと言う事で、勘弁してほしい。 ルイズの家と長年の恩讐があるのは知ってるし、国境を隔てたお隣同士っつーのは非常に仲が悪いのもよく知っちゃおる。知っちゃおるが、それでもやっぱりルイズは可愛いわしの孫なんでな。仲良くしてくれとまでは言わんが、お手柔らかに頼む。 お前はとても魅力的だし、自分がそうだと言う事もよく知っているだろう。 それならトリステインの小さな領土を取りに行くよりも、ゲルマニアの広大な領土を取りに行った方がずっと効率的だろうとわしは思ったりするが。 まあ、わしの贈り物がちょっとでも役に立ちゃ幸いじゃ』 「ダーリンの世界はすごいわねえ。もう何て言うか、あたし一人じゃ一生かかっても全部のドレスを試せそうにないもの」 かつてジョセフに請われて渡した、たった一冊の薄っぺらい「召喚されし書物」の代償としては、その重さも内容も比較するまでもない。 まるでその瞬間を切り取った様に克明な絵と、指さえ切れてしまいそうに薄い紙。この本だけでも好事家に売れば城でも買える金貨が手に入るだろう。 しかしキュルケにとっては、このカタログは何物にも勝る贈り物である。国一つと引き換えと言われれば交換を考えないでもないレベルの価値が其処にあった。 しかしハルケギニアでは想像もしないくらいに多種多様なデザインのドレスやヘアスタイルは、キュルケには似合わないものも多くある。 そこでキュルケが目を付けたのは、彼女の親愛なる友人であるタバサやルイズである。 キュルケとは種類の異なる美少女である二人は、キュルケの審美眼に拠って魅力的に着飾らされる羽目になり、圧倒的多数の男子と少数の女子からの恋文攻勢に立たされる破目にもなった。 そんな中でも特に彼女の目を引いたのは、「ブラジャー」と呼ばれる胸当てだった。 この下着は乳房を支えるのが主目的だが、デザインを工夫すればただでさえ大変な胸元がより大変になる事に気付いたその時、キュルケの野望は具現化したと言っても過言ではなかった。 今までも大きく広げていた制服の胸元がより大きく広げられ、これまでより更に深まった胸の谷間を彩る真紅の胸当ては、学院の男達の視線を以前とは比べ物にならないレベルで集めたのは言うまでもない。 学院を卒業するまでに流した浮名の数は、長い学院の歴史でも長く語り継がれる事になるのだが、それはキュルケと言う稀代の美女を語る上では序章でしかなかった。 ――キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーは、火の魔法と彼女自身の美貌を存分に駆使し、後に故郷ゲルマニアの女王として君臨する。 特定の配偶者を持たず、数多くの愛人と恋人を終生侍らせ続けた彼女は“処女王”の二つ名で呼ばれる事となる。 『わしの可愛いルイズへ。 この手紙を読んでいると言う事は、お前は魔法をきちんと使える一人前のメイジになったと言う事だろう。まーそーでなくとも、一度はわしを召喚しているのだから、もう一度くらいは召喚に成功してもバチは当たらんはずじゃ。 こんな形で別れる事になったのに心残りがないと言えば、嘘になる。お前に直接別れを告げられなかったし、お前が困っていても24時間以内に駆け付けてやれないのはとても辛いが、それは言っても詮無き事じゃから、な。 わしがたまたまお前の使い魔になった事も、短い間でさよならを言わなくちゃならなかった事も、それはきっとそうなるべくしてなった事なんじゃろう。だからもう、わしの事は気にするな。 わしはわしの世界で生きていかなければならんし、お前はお前の世界で生きていかなければならん。だから、もうわしらの手から離れた事をずーっと書き連ねても意味がない。 ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールはわしと言う使い魔を失ったかも知れん。しかし、わしといた二ヶ月でルイズが手に入れた物はそれ以上に沢山ある。今のお前には良き友人も教師も間違いなくいる。お前が何と言おうとな。 それは間違いなく、これからのお前にとってとてもとても大切な事じゃ。 わしも長い事生きてきたから、無二の親友を戦いで失いもしたし、わしを育ててくれたエリナおばあちゃんやスピードワゴンを見送りもした。しかし、それ以上にわしはもっと沢山の大切な物を手に入れてきた。 もしわしが大切な者を亡くした悲しみに捕らわれ続けていれば、お前と出会う二ヶ月も無かっただろう。お前達との二ヶ月間は本当に色んな事があった。じゃが、本当に楽しい二ヶ月だった。 異世界で出会った掛替えの無い友人達を、わしは死ぬまで忘れる事は無いじゃろう。 これからお前の行く道には色々と厄介事があるかもしれんが、今のお前は一人じゃあない。 お前は友を助け、友にお前を助けてもらえ。 最後になったが、わしがお前にしてやれる最後の贈り物を用意した。 わしの代わりに、お前の使い魔になる様な動物はどんなのがいいのか一生懸命考えた。ドラゴンやらグリフォンやらが実在する世界で、果たしてわしの用意できる程度の動物でいいのかと思ったが、まあカエルとかネズミとかの使い魔の方が一般的みたいじゃし別によかろう。 何はともあれ、これからのお前が幸せである様に祈っておる。 わしもお前に心配されん程度に、幸せにやっていくからな。 ルイズを愛するジョセフ・ジョースターより』 机に向かって羊皮紙にペンを走らせているルイズの耳に、ノックの音が聞こえた。 「開いているわ」 ペンは止めず、ドアに視線を向ける事も無く短く答える。 「失礼致します」 短い挨拶と共にドアを開けて入ってきたのは、シエスタだった。 手にはティーセットを乗せたトレイを持ってきており、ルイズの指示を受ける前に手馴れた様子でテーブルの上に茶の用意を済ませていく。 二人きりの部屋の中、さして互いに言葉を交わすでもなく、ペンが走る音とティーセットが微かに音を立てるだけの静寂の中、カップに注がれた茶が緩やかに湯気を立て出した頃にシエスタはルイズの背に向けて声を掛けた。 「ミス・ヴァリエール。お茶の用意が整いました」 「そう。じゃあ頂こうかしら」 ペン立てにペンを挿し、椅子を軋ませて立ち上がるとテーブルへと足を向ける。 テーブルの上にはティーカップと、クックベリーパイがツーピース乗った小皿。 ルイズの足取りに合わせてシエスタが引いた椅子に腰掛けると、まずは茶を一口。 「うん、いい案配ね」 「恐縮です」 矢鱈に視線を合わせはしないが、それぞれの口元は柔らかく綻んでいる。 二人を引き合わせた張本人であるジョセフはもういないが、シエスタはタルブの戦以来、タルブを守った英雄であるジョセフに返せなかった恩をほんの少しでも返すべく、ルイズに甲斐甲斐しく仕えると決意した。 ルイズはそれを嫌がるでも厭うでもなく、特に何も言わずシエスタを自分のお付きメイドとして扱う様にし、現在に至っている。 夏季休暇も終わり、そろそろ秋の気配が見える頃になっても、二人の会話の糸口は決まっていた。 「ジョセフさん、お元気にしておられるでしょうか」 「アレがそうそう耄碌するはずがないじゃない。だって私の使い魔だったんだもの」 殆ど毎日交わした決まり文句を口にしてから、パイを一口食べる。 「ところでシエスタ。貴方の故郷の様子はどうなってるの」 「ええ、平原はメチャクチャになっちゃいましたけど……フネの残骸やら何やらで結構な臨時収入が出来ましたので。来年にはまたブドウの作付けも出来るかと思います」 シエスタが笑みを浮かべながら答える言葉に嘘がない事を、ルイズは知っている。 今のルイズは、タルブの復興状況を知る立場にある。ジョセフからの手紙を受け取った後、ルイズは一人トリスタニア城へ出向き、自らが虚無の担い手であるらしい事をアンリエッタとウェールズに告白し、二人に宛てられた手紙を渡した。 アンリエッタは驚きながらも、親友が落ちこぼれのメイジどころか伝説の系統の使い手だった事を喜び、そして虚無の系統に目覚めた事を他言しない様に厳命した。 新たな女王の役に立ちたいと願うルイズと、親友を禍々しい権力闘争に巻き込みたくないアンリエッタの押し問答を押し留めたのは、アルビオンの王となったウェールズだった。 虚無の力を使う決断はアンリエッタに任せ、ルイズの独断で力を行使しないこと。この条件にまだ納得しかねたルイズに、ウェールズは少しばかり悪戯っぽい笑みを向けて説得した。 「あのジョセフ・ジョースターは、自分の力を濫用したりしなかった。しかし力を用いるべき時には、全力で事に挑んだ。だからこそ、私が今こうして生きて愛する従妹と婚約を結ぶ事が出来たのだ。 君の愛した使い魔は、君が無闇矢鱈に死地へ向かう事を願ったりはしないだろう。私達は、彼から貰い受けた多くの物を返す事が出来なかった代わりに、彼が大切にした少女を彼と同じ様に大切にしたいと考えている」 王としてではなく、友人として語り掛ける穏やかな口調。 それでもなお、でも、と反論しようとしたルイズに、ウェールズは僅かに口調を変えた。 友人の名誉を守ろうとする男の声で、静かに言葉を紡ぐ。 「あのジョセフ・ジョースターは、愛する主人に『国の為に力を使い尽くして死ね』なんて言うだろうか? もし彼がそう言うと思うのなら、君を私達の手駒とする事に異論はない」 そう言われてしまえば、ルイズにそれ以上歯向かう言葉など存在しない。 悲しげに俯いたルイズに、アンリエッタはすぐさま羽ペンを取ると羊皮紙に文面を書き連ねる。それはルイズを女王直属の女官とする許可証だった。 許可証をルイズに手渡すと、その手を離さないまま優しげな笑みを無二の親友へと向けた。 「今のわたくしには、愛するウェールズ陛下がおります。ですがルイズ、あの奇妙な使い魔と初めて出会った夜に言った言葉をもう一度、貴女に送ります」 女王から臣下に向ける為の表情ではなく、幼い頃からの親友に向ける為のアンリエッタの声色で、ルイズの手を握る手に力を込め、ブルーの瞳を潤ませて真正面からじっと見つめた。 「友達面で擦り寄ってくるだけの宮廷貴族達とは違う……私に真に忠誠を誓う貴女が、私には必要なの。今はもういないジョジョの分まで、わたくしの友人でいてほしいのよ、ルイズ!」 身に余る言葉を受け取ったルイズは感極まり、涙を流しながらアンリエッタに抱きついた。 「――女王陛下!」 「ああ、ルイズ! ルイズ! わたくし達だけの時はそんなよそよそしい呼び方をしないで! 昔の様に姫さまと呼んで!」 ひしと抱き合いながら、二人で気が済むまでおいおいと泣き合う姿を、ウェールズは目を細めながら眺めていた。 ルイズは感極まって泣き続けながらも、頭の何処かで何故こんなに涙が止まらないのかを理解した。 自分がメイジであるかどうかなど関係なく、自分を必要だと認めてくれる。 そう、ジョセフもそうだった。魔法が使えない落ちこぼれを馬鹿にする事無く、ルイズはただのルイズでいいのだと認めてくれた。 虚無の力ではなく、ルイズ本人を必要だと、敬愛する女王陛下とウェールズ陛下に認めてもらえた。 別れの手紙に書いてあった事は嘘ではなかった。今の私は一人ではないのだ、と、確信出来た喜びの涙だと、判ったからだった。 その日からルイズは、アンリエッタ達の前で『虚無』を口にする事はなくなった。 アルビオン大陸への封鎖作戦が進行しているとは言え、表向きは今すぐに戦争を仕掛けようとはしていないので国もそれなりには平穏を保っている。 休日には朝早く学院からトリスタニアへと向かい、アンリエッタの公務中は何をするでもなくただ女官として女王の側に立ち、時折出来る暇に言葉を交わし、慌しく短い食事の時間を共にしてまた学院へ帰る。 授業がある日には友人達と軽口を叩き合ったり一方的にからかわれたりしつつ、アンリエッタから届いた手紙に返事を書き、伝書フクロウに託す。 アンリエッタに送る手紙を書く手を一旦止めて、毎日の習慣となりつつあるティータイムを今日もまた過ごしていた。 空になったカップをソーサーの上に置くと、シエスタは慣れた手つきでそっとお茶を注いでいく。 「ジョセフさんの世界って本当にすごいんですね、ミス。贈られた軟膏でアカギレもひび割れも出来なくなっちゃいましたし、お腹の調子を悪くしてもあの丸薬ですぐに治ってしまいます」 シエスタにもジョセフからの手紙とプレゼントは贈られていた。 竜の羽衣のお陰でタルブを守れた事、無事に元の世界へ帰還できた事、シエスタの祖父の遺言通り、祖父の生まれた国へと返還した事、初めて会った時から親身になってくれた事。それらについて丁寧に礼が述べられた後、シエスタへのプレゼントも添えられていた。 見た事もない素材で作られた箱にたっぷりと詰められた、これまた見た事もない素材で作られた小さな筒に入った軟膏と、茶色の小さなガラス瓶に入った茶色の丸薬。そして軟膏と薬の作り方と材料。 ジョセフの世界の単語で言えば、ダンボール箱にたっぷり詰まった日本製の軟膏と正露丸。 軟膏の実物は学院中の使用人全員が毎日使っても二年分は優にあり、使用人の肌環境を劇的に改善させる事となった。 正露丸は魔法も必要とせず、ただ飲んだだけですぐに腹痛を治めてしまう。使用人のみならずメイジ達にもその評判は流れ、軟膏や正露丸自体やその材料の研究も流行の兆しを見せている。 「……そうね。あいつはいっつもそう。自分は他人の為に走り回ったくせに、あんなに一杯贈り物なんか贈ってきて。腹が立つわ」 ジョセフの話題になると時折零れる刺々しい言葉は、ジョセフへの思慕の情が漏れそうになるのを隠そうとするパフォーマンスである事は、シエスタのみならずルイズの主従関係を知る友人達にとっては周知の事実だった。 その証拠に、刺々しい言葉とは裏腹に、かつての使い魔を語る口調はいつもとても柔らかい。 しかしその柔らかな口調は、すぐに言葉に似つかわしい刺々しさを持つ事になる。 「……で、あいつは一体どこほっつき歩いてるのかしら」 「さあ……厨房からここまで擦れ違いませんでしたし、いつもの様にどこかで昼寝なさってるんじゃないでしょうか」 本格的な棘が発生しても、シエスタはどこ吹く風と言わんばかりにしれっとルイズの言葉を流す。 それがまたルイズの気に障り、見る見る間にテンションを上げさせて行く。 「あいつあたしの使い魔でしょ!? なのにいっつもご主人様の側にいないでほっつき歩きっぱなしってどう言うことかしら!」 それから一通りきーきー喚いている所に、ドアがギィと押し開けられた。 部屋へ入ってきた姿を見たルイズが、勢い良く椅子から立ち上がると鞭を“彼”へ向けた。 「一体今までどこブラブラしてたのよ! 使い魔がご主人様の側にいないって、アンタ本当に使い魔としての自覚あんのジョセフ!?」 しかし“ジョセフ”は意に介さず、後ろ足で首の後ろを掻いた。 その悠然とした態度が更に癇に障り、しばらく散々喚いて疲れたルイズがじとりとした目で“ジョセフ”を見下ろした。 ジョセフ・ジョースターがルイズへ贈ったのは、自分の代わりの使い魔になる動物だった。 ジョセフがスピードワゴン財団に無理を言って用意させたのは、虎の仔。地球に生息する虎の中でも最大級の体格を持ち、尚且つ生息する個体数も少ない貴重なアムールトラをルイズへと贈ったのだった。 無論ルイズはその虎にジョセフと名付け、使い魔として契約を果たした。 しかしこの虎は色々と小生意気で、コントラスト・サーヴァントも行ったにも拘らず、主人を主人と思っていない様に自由奔放に振舞う。 トラックのコンテナに設置された檻の中にいた時は猫程度の大きさだったのが、良く食べ良く寝て良く走った結果、あっと言う間に大型犬よりも大きくなっている。これで更に大きくなったら果たしてどうなるのか、今からルイズの頭痛の種だった。 「まあまあそう怒るなよ娘っ子」 部屋の隅でかちかち唾を鳴らし、能天気な声で取り成す剣の声が更に怒りを増幅させる。 「うるっさいわね! アンタはいいわね、前のジョセフの時も今のジョセフの時ものうのうと隠居暮らしが出来て」 「な! おめえそれは言っちゃなんねえ事だぞ! 大体娘っ子もお前らも伝説の剣を何だと思ってやがる!」 貴族と剣の言い争いも恒例行事。黒髪のメイドは意にも介さず、まだ手の付けられていないパイを手に取ると、ジョセフへと差し出した。 「ふふっ、ジョセフさん。沢山食べて大きくなるんですよー」 大きく開けた口の中へパイを落としてもらい、ジョセフは嬉しそうにパイを飲み込むとシエスタの足元へ身を摺り寄せた。 「あっ! こらジョセフ、何ご主人様以外の女に媚売ってるのよ!」 「あらミス、ジョセフさんと私はとーっても仲良しなんですよ? こんなに可愛い虎さんをしかってばかりの怖いご主人様より、ご飯上げて可愛がっちゃう私の方がずーっといいですよねー?」 がぁう、と虎が暢気に鳴いて、四つ巴の口喧嘩が発生するのもまた日常茶飯事。 伝説の担い手と伝説の使い魔は、そんな肩書きなど関係なくじゃれあっていた。 ――シエスタはそれから学院のメイドを数年勤めた後に故郷のタルブ村に帰り、丈夫で働き者の夫を得てブドウ栽培とワイン作りに専念する。 シエスタが完成させ、村の恩人である英雄の名を冠した「ジョースターワイン」は、ヴァリエール家の晩餐会に供され、トリステインでも屈指の高級ワインとして名を馳せる事となる。 ――ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、ウェールズ王と共に手を取り合うアンリエッタ女王の側に付き従い忠誠を誓う女官として、使い魔である巨大虎と共に歴史書に名を残す事になる。 彼女が虚無の担い手であった物語は世間に聞こえる事は決してなかったものの、彼女の誇り高い生涯はヴァリエールの子孫達に語り継がれていくのだった―― ゼロと奇妙な隠者 完
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ルイズにとっての厄日を挙げろと言われたら、まず間違いなくこの日が挙がるだろう。 使い魔召喚で手間取った挙句、召喚できたのはよりによって平民の老人。 図体ばかりがデカいだけで非常に無知で、この偉大なるトリスティン魔法学院すら知らないどころか、魔法の存在さえろくすっぽ知らないと来たものだ。 あまつさえニューヨークだチキュウだなどと、ルイズが知らないような辺境から来たとのたまう。 この世界の何処に月が一つしかない場所があるというのだ。貴族を馬鹿にするにも程がある。 そのくせ随分と聞きたがりで、昼間に召喚してからというもの、日が沈むまであれやこれやと質問ばかりしてくる。 子供でも知っているような事ですら何でも聞いてくるので、ウンザリしたルイズは最後になると質問を全て「うるさいうるさいうるさい!」で全部シカトした。 しかしシカトしてしまえば、平民は大人しく黙り込んで外へ出ていった。 これからあのボケ老人を相手にし続けなければならないのかと思うと、ルイズはほとほと嫌気が差した。 しかもファーストキスまであの老人にくれてやったというのが甚だ不愉快極まりない。 とにもかくも今日は疲れた。 ルイズは寝巻きに着替えてとっとと寝ようとして、「使い魔が帰ってきたら何処で寝るか」を言い含めなければ安心して眠れないということに気付き……再び怒りを膨らませた。 ジョセフにとっての厄日を挙げろと言われたら、まず間違いなくこの日は選外だ。 命懸けの冒険が終わったかと思ったら、突然異世界に召喚されて有無を言わさず使い魔にされるというある意味屈辱的な事態を迎えることになった。 が、究極生物や超常現象との戦いを潜り抜けてきたジョセフにとっては、この程度のアクシデントなど「奇妙な」という冠言葉をつけてやるにも値しない。 むしろ美少女のファーストキスを頂いたのだから十二分に良い日だと断言してもいい、とすらジョセフは考えていた。 ひとまず元の世界に帰還することよりも、この世界でどうやって生活するか。 まずはそこから足場を固めていかなければなるまいと考えたジョセフがとった手段は、「弱者のフリをし通す」ことだった。 その為に図体が大きいだけの無知な老人を装えば、世間知らずの主人は疑うことすらせずそれを信じ込んだ。 中世貴族そのままの思考パターンで動いている人種には、とにかく「自分より立場が下の人間」だと思い込ませれば非常に都合がいい。 油断させてしまえば、後は態度次第で自分の思うがままに相手の心理を誘導させられる。 たった一代でニューヨークの不動産王に成り上がった男の処世術として初歩も初歩。 ひとまず、ルイズへの質問攻めのおかげで現状は大体把握した。 ボケ老人が質問してはおかしい事柄は、部屋から追い出された後でハーミットパープルの念視で把握してしまった。 主人がヒミツにしている宝物の隠し場所もバッチリである。 (後は役に立たんフリさえしとれば、厄介事にも巻き込まれんじゃろ。後は……自分の身体じゃな) ジョセフの波紋では骨折やらの大怪我は治せないとは言え、軽い怪我なら治癒できる。体内を流れるDIOの血も、波紋呼吸を続けていればいずれ浄化することは可能。 ただ一つ、気がかりなことがあるとすれば。 ジョセフは左手の手袋を脱ぎ、義手に刻まれた奇妙な文字……ルーンに視線を集めた。ルイズに言わせるとルイズの使い魔になったという証だということだが、ルーンが刻まれた瞬間から、この鉄の義手は明らかな奇妙さを醸し出す様になっていた。 日常生活に支障がないほど精巧な動作が出来る義手だったが、今では“義手に波紋が留まる”ようになった。 波紋は金属に留まることができず、流したとしても即座に拡散してしまう性質があるにも拘わらずだ。 教師であるU字ハゲのコルベールも「これは珍しいルーンだな。なんだキミは左手だけゴーレムなのか?」との言葉であっさり流したせいで、答えに辿り着くのは随分と後のことになりそうだ。 ひとまず校内の間取りも把握し、周囲の地形もおおよそ理解した。一番身近な自分の身体が一番不審だというのが腑に落ちないが。 部屋を出てきた時と現在の月の位置を確認し、やや時間が経ち過ぎた事に気付くと、ルイズの部屋へと戻る。 扉の前へ来るとノックしてもしもーし。 「遅いッ! どこほっつき歩いてたのよッ!」と返事が来てからドアを開けて部屋へ入る。 「いやァすいません、あんまりにも広いんで道に迷ってしまいましてのォ」 頬をポリポリかきながら事も無げに答える。 「アンタ常識ってモンがないの!? 主人が寝ようかって時に側にいない使い魔なんて聞いたことがないわ!」 それから続け様に八つ当たりめいた罵詈雑言を飛ばすルイズだが、何で怒られているのか判りませんよという顔をしているジョセフに盛大にため息をついて、床に敷かれたボロ毛布を指差した。 「もういいわ、疲れた。あんたはそこで寝なさい。あたしも寝るわ。そうそう、そこに服が置いてあるから洗濯しといてね。朝はちゃんと起こすのよ!」 言いたいことだけ言ってしまって、ルイズは指を鳴らしてランプを消し。そのままベッドに潜り込んだ。 程無くして寝息が聞こえてくるのを確認してから、ジョセフは小さくため息をつき。とりあえず毛布の上に座り込んだ。 (んまァなんじゃ。ホントーに何処から何処まで中世貴族そのまんまじゃのォ。一晩かけて言うコト聞かせるようにしちまってもいいんじゃが) 有体に言えば手篭めにするということである。自信はあるがそれが成功するかは判らない。「勝負というのは始まった時には既に勝てるかどうか決まっているものである」を信条とするジョセフとしては、その考えはまだ非現実的だと判ずるしかない。 失敗するかも知れない手に打って出るほど窮している訳でもない。 それよりも先にやらなければならないことがある。ジョセフは呼吸を整え、波紋を練り始めた。 独特の呼吸音が静かな室内に微かに聞こえるが、ルイズは目を覚ます気配もなく昏々と眠り続けている。 まず波紋を集約させた指を壁につけ、指だけで壁を登り、天井にぶら下がって数十分そのままの体勢を維持する。 降りれば水差しからコップに水を注ぎ、逆さにしたコップから水を落とさずにそのまま維持。 水面に指をつけてコップから水を抜き取れば、プリンのようにコップの形を維持する水をかじる。 波紋を体内に流していれば食事も睡眠も必要がなくなる。これから特権階級であるルイズが自分をどういう扱いをするのかはかなり想像がつく。 (波紋やっとると老化せんからのォ。あんまりやり過ぎるとワシがスージーより年下っぽくなっちまうからあんまやりたくないが。ま、しゃーないしゃーない) ジョセフの脳裏には、ありし日のリサリサの姿が浮かんでいた。 母も結婚してから波紋呼吸を止めた(幾ら何でもずっと年を取り続けないのはおかしいのだが、リサリサは波紋を止めるのにやや未練を残していたようだ)が、それでも大概な若作りを維持していた。 母の再婚相手は、ジョセフはリサリサの弟だと思い込んだまま天寿を全うした。 いつ元の世界に帰る事が出来るかは判らないが、いつか帰る日の為に自分の体を維持し続けなければならない。 エジプトへの旅の間も、自分の老化を嫌と言うほど思い知らされた。 いつ終わるとも知れないハードな日々を潜り抜けるために、この波紋は必要不可欠なのだから。 トレーニングを一通り終えて窓の外を見ると、ほのかに空が白くなりかけてきていた。 ジョセフは脱ぎ散らかされたルイズの服を持って、下へと降りていく。 ハーミットパープルを使えば洗濯道具の在り処もすぐに判るが、勝手に出して使っていては元からここで働いている人間もいい気持ちはしないだろう。 両手で服を抱えながら水場の横で腰を下ろしてのんびりと空を見上げていると、若い黒髪のメイドが一人やってくる。ジョセフは彼女にひらりと手を挙げて、声をかけた。 「おおお嬢さん。すいませんが主人から洗濯を命じられておりましての。すいませんが洗濯道具を貸していただけると有難いんじゃが」 「洗濯道具ですか? 構いませんが……貴方はどなたですか?」 微妙に不審げな顔をする彼女に、ジョセフはニカリと笑って名を名乗る。 「ジョセフ。ジョセフ・ジョースターですじゃ。昨日からミス・ヴァリエールの使い魔となりましての。至らぬ所もあるかと思いますが、宜しくお願いしますじゃ」 ジョセフの自己紹介に、彼女はああ、と合点が行った顔をして手を叩いた。 「ミス・ヴァリエールの! 貴方が噂の平民の使い魔さんでしたか」 「ええ、わしが噂の平民の使い魔ですじゃ。宜しければお嬢さん、お名前などお聞かせ頂ければ嬉しいですがの」 ルイズの前でしていたようなボケ老人のフリではなく、普段通りの明朗快活さで会話を続け。ゆっくりと立ち上がったジョセフの背の高さに、彼女は目を見張った。 「私はシエスタと申します。シエスタとお呼びくだされば結構です」 「おおこれは御丁寧に。ではわしのことはジョセフなりジョジョなりお好きに呼んで下さって結構ですぞ、ミス・シエスタ」 ウィンクもつけて、敬称を付けて彼女の名を呼ぶ。 予想外の呼び方に、ボ、と顔を赤らめて、少しばかりモジモジしながら視線を彷徨わせるシエスタ。 「や、やですわ、そんな貴族の方々にするような呼び方なんて照れてしまいます。そんなこと言われたら、私もミスタ・ジョセフとお呼びしなければ……」 「はははは、それは失敬。他人行儀な呼び方をしてしまいましたかの。ではこれからはシエスタ、と呼ぶことにしますわい。シエスタも気楽にわしの名を呼んでもらえれば結構」 「でしたら……ジョセフさん、とお呼びいたします。年上の方ですし」 まだ赤みの消えうせないまま、そうですよね? と言いたげな顔でジョセフを見上げるシエスタ。 「ではそう呼んで下されば光栄ですじゃ。おっと、あまり立ち話で時間を取らせてしまってはいけませんな。ワシも主人の服を洗濯せねばなりませんでな」 「あ、すいません! ではこちらに……」 シエスタに道具置き場へ案内される間も、終始楽しげに会話を続けるジョセフ。 今正にこの時こそが、アメリカニューヨーク仕込の人心掌握術がトリスティン魔法学院で炸裂した、最初の瞬間であった。 To Be Contined → 戻る
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朝早く、まだ生徒達が目覚める前。 ルイズとギーシュは馬に鞍をつけ出発の準備をしていたが、ギーシュはなぜか地面を気にしている。 「何キョロキョロしてるのよ」 「いや、実はだね…僕の使い魔を連れて行きたいんだ」 と、ギーシュが言ったとたんに、ルイズの足下が持ち上がり、ジャイアントモールが現れた、ギーシュはそれに抱きいて「僕の可愛いヴェルダンデ!」とのたまっている。 「臭いを嗅ぐなッ!」 ルイズは顔を真っ赤にして、ヴェルダンデの頭をべちん、と叩いた。 地面に降りたルイズは、連れて行っちゃダメだと告げた。行き先が『アルビオン』だからだ。 話を聞いているのかいないのか分からないがヴェルダンデは突然、ルイズを押し倒した。 「何なのよこのモグラ!やめなさいったら!」 鼻で体をまさぐり始めたヴェルダンデは、ルイズの右手の薬指に光るルビーを見つけると、それに鼻をすり寄せた。 アンリエッタ姫から預かった水のルビーを見ながら、ギーシュは「なるほど」と呟く。 「なるほど、指輪を見つけて喜んで居るんだね。ヴェルダンデは宝石が大好きだからねぇ」 「感心してないで助けなさいよ!」 そんな風にモグラとルイズが戯れていると、一陣の風が舞い上がり、モグラだけを吹き飛ばした。 「誰だッ!」 ギーシュが怒りを隠しもせずわめく、風の吹いた方向を見ると、朝もやの中から長身の貴族が現れた。 羽帽子をか被ったその男は、グリフォンから降りてギーシュを一別した。 「貴様、ヴェルダンデになにをする!」 ギーシュが杖を掲げようとすると、それより一瞬早く、長身の貴族が杖を引き抜いて、風の魔法でギーシュの杖を吹き飛ばした。 「僕は敵じゃない。姫殿下より同行を命じられていてね…。君たちだけでは心許ないらしい。」 そう言いながら帽子を取る。 「お忍びの任務であるゆえ、部隊つけるわけにもいかぬ、そこで僕が指名された…ってワケだ」 帽子を胸の前に置き、長身の貴族が一礼した。 「女王陛下の魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵だ」 ギーシュは魔法衛士隊と聞いて、相手が悪いと知った。 魔法衛士隊とは、家柄だけでは決して与えられない、実力がなければその地位には決して就くことができない、若きメイジ達のあこがれの地位なのだ。 「あのジャイアントモールは君の使い魔かね? だとしたら、すまない。婚約者がモグラに襲われているのを黙って見ているわけにはいかないのでね」 「ワルドさま……」 立ち上がったルイズが、震える声で言った。 「久しぶりだな!ルイズ!僕のルイズ!」 ワルドはルイズを抱き上げた。 そんな人物がルイズの婚約者だと知って、ギーシュはあんぐりと口を開けた。 「ワルド様、この間馬車の中で『またすぐ会える』と言っておられたのは、この事だったのですね」 「ああ、…ふふ、相変わらず、きみは羽のように軽いな」 ワルドは抱きかかえていたルイズを地面に下ろすと、朝靄の向こうから聞こえてくる蹄の音に耳を傾けた。 「お取り込み中失礼致しますわ、ミス・ヴァリエール」 馬に乗って現れたのは、ミス・ロングビルだった。 そして簡単な自己紹介が始まった。 封書と、水のルビーを預けられたルイズ。 アルビオンに入るまでの間、護衛を任せられたロングビル。 道中の護衛をつとめるワルド。 おまけのギーシュ。 ギーシュは『自分よりはるかに腕の立つ男』と、『学院長の秘書になるほど腕の立つメイジ』に挟まれ、この任務を手伝うことが出来た幸運に体を震わせた。 ロングビルは生徒に魔法を見せたことは無いが、学院長の秘書になるぐらいだから実力があるのだろう…などと、生徒達の間で噂されているのだ。 顔見せが終わった後、ワルドはグリフォンに跨り、膝の上にルイズをのせた。 「では諸君! 出撃だ!」 グリフォンが駆け出して、ギーシュとロングビルの馬が後に続き、アルビオンに向けて走り出した。 そんな出発の様子を見ている者が居た。 学院長室の窓から、アンリエッタ姫がルイズ達を見ていたのだ。 アンリエッタは目を閉じて祈る。 「彼女たちに、加護をお与えください。始祖ブリミルよ…」 その隣ではオスマンが鼻毛を抜いていた、アンリエッタは緊張感のないオスマンが気になり、オスマンの方に振り向いた。 「見送らないのですか?」 「ほほ、ワシは友達のお願いを聞いた生徒が勝手に出かけていくとしか聞いておりませんでな」 意地悪そうに呟くオスマンに、アンリエッタは少し嫌そうな顔をした。 オスマンではなく、自分が嫌になる。 自分は、どれだけ『おともだち』に迷惑をかけたのだろうか。 今までのアンリエッタであれば、王族の不始末は貴族がぬぐって呵るべき、と考えていたかもしれないが、今は『王族』と『友達』の間で苦しんでいる。 ただ、今はこの任務を引き受けてくれたルイズに感謝し、無事を祈るほか無かった。 「ところで、オールド・オスマン」 「はい、なんでございましょうかな」 「このミス・ロングビルを派遣して、学院に不都合はないのですか?」 「ほっほっほ、ワシの秘書と言っても大して仕事はありませんでな、それに彼女は土のトライアングル、実戦慣れもしておりますからのう」 「そうですか…ミス・ロングビルを信頼なさっているのですね」 「生徒のことも信頼しておりますじゃ」 その返事に、アンリエッタは少しだけ笑顔を見せた。 「それにしても、実戦慣れしている方を秘書に着けられるだなんて、オールド・オスマンの人脈には驚かされますわ」 「なぁに!それほど大したことでもありませんでな、酒場でワシがお尻を触っても嫌とも何とも言わない、いやこれは実に出来たお嬢さんだと思いスカウトした訳ですじゃ!」 「ハァ?」 「しかも雇ってから彼女がメイジだと分かりまして、大したことは出来ないと謙遜しておりましたが、滲み出る実力はトライアングルで上の方だと感じまして……あっ」 オスマンは自分がよけいなことまで喋ってしまったことに気づき、慌てて口をつぐんだ。 「…あ、あの、今のは冗談! あのー、なんちゃって! ハハハハ…」 ぼけ老人のふりをしようと思ったが、もう遅い。 「…そ、そんな人物を護衛に…ああ、ルイズ…」 アンリエッタは、ルイズに謝りながら気を失った。 ---- #center{[[前へ 奇妙なルイズ-16]] [[目次 奇妙なルイズ]] [[次へ 奇妙なルイズ-18]]}
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ガシャン!とデルフリンガーを地面に投げ捨てる。そうしておいてギアッチョは キュルケとルイズを交互に睨んだ。 「勝てる相手かどうかも考えずによォォ~~・・・ただ条件反射で突っ込んで、挙句 仲間の命まで危険にさらす・・・今てめーがやったのはそれだキュルケ」 ギアッチョはキュルケの顔を覗き込んで続ける。 「そんなのは『義務』でも『覚悟』でもねぇ・・・ただの無謀だ てめーは根拠もなく まぁなんとかなるだろうと考えたな え? 最も忌むべきもの・・・無知と驕りから 来る過信だ」 一切の容赦無く、ギアッチョは冷厳として事実を述べる。曲がりなりにも貴族である キュルケは何とか言い返したかったが、彼がいなければ親友は死んでいた―― 自分が殺していたと思うと、己には何を言う資格もないと理解した。 「ルイズ、てめーもだ」 キュルケが悄然としてうつむいているのを意外そうに見ていたルイズは、ハッと 我に返って姿勢を正す。 「こいつが走り出した時、おめーは爆発でフッ飛ばしてでもキュルケを止めるべき だった 二人一緒なら勝てると思ったか?それとも倒せる自信があったってワケか?」 どうなんだ、と凄むギアッチョに、ルイズもまた言葉を返せなかった。いざとなれば ギアッチョが助けてくれる。彼女は無意識のうちにそう考えていてしまっていた。だが 現実はどうだ。タバサがいなければ、ギアッチョが辿り着く前に自分達は死んでいた だろう。周囲の状況も、自分の実力も鑑みず、安易に自分の使い魔に頼って しまっていた。ルイズは自分がとても情けなくなったが――それと同時に、彼女の 心にはとてつもない不安の波が押し寄せた。 ギアッチョは自分に幻滅した・・・? ふと浮かんだその言葉は、一瞬でルイズの心に波紋となって爆発的に広がった。 ――そんなのいやだ・・・! ギアッチョ。私の唯一成功した魔法の結果。私の唯一の使い魔。私の唯一の味方。 私の唯一の、私の――・・・! ルイズの頭をさまざまな言葉が駆け巡る。 幻滅、失望、諦観、厭離、侮蔑、嘲笑、忌避、放逐・・・。 ――いやだ嫌だ、そんなの嫌・・・!! ギアッチョに見放される恐怖で心が埋め尽くされてしまったルイズには、彼が何故 怒っているのか、何が言いたいのか・・・その真意を汲み取ることなど出来なかった。 「てめーに出来ることをしろ」と言うギアッチョの言葉も、ルイズの耳に届くことは なかった。そしてそれが故に――ルイズは重大な錯誤をすることになる。 説教を終えてデルフリンガーを拾い上げるギアッチョに、キュルケがおずおずと 声をかける。 「・・・あの ギアッチョ」 「ああ?」 まだ何かあるのかといった顔をキュルケに向けるギアッチョに、 「――ごめんなさい」 キュルケがストレートな謝罪を発した。ギアッチョは怪訝な顔でキュルケを眺める。 「あなたのこと誤解してたわ・・・本当にごめんなさい」 ギアッチョは自分の親友を助けた。それも、一歩遅ければ当のタバサとシルフィード 共々潰される危険を冒してまで。今までの行動がどうあろうが、その事実だけで キュルケが彼を信じるには十分にすぎた。 ギアッチョはトンと肩にデルフリンガーを担ぐ。 「疑われたり監視されたり命を狙われたり・・・そんな事は日常茶飯事だ 気にしちゃ いねー」 ギアッチョはそう言うとキュルケ達に背を向けた。 「しかしよォォ こんな役割はプロシュートかリゾットにやらせるもんだ オレのキャラ じゃあねー・・・もう同じことを言わせるんじゃあねーぞ」 ひょっとして、意外と面倒見は悪くないのかしら。そう思ったキュルケは、 「・・・分かったわ」 そう答えて少し相好を崩した。 翌朝。オールド・オスマンは学院中の教師を一室に集めた。集まった教師達は、 口々に誰が悪いだの自分は悪くないだのと責任を押し付けあっている。 目撃者としてタバサと共にコルベールに呼ばれたキュルケは、そんな状況に 嘆息しつつ同じく召致されたルイズに眼を遣る。心なしか気分が沈んでいるように 見えるが大丈夫だろうか。「昨日の説教がそんなに効いたのかしら」などと考えて いると、騒ぎ続ける教師達を制止してオスマンが話を始めた。 宝物庫が破られたのは教師全体の責任であること、奪われたのは破壊の杖で あること、犯人は目撃者達によるとトライアングルクラスの土のメイジ、恐らくは 土くれのフーケであること、そしてオールド・オスマンの秘書であるミス・ロングビルが 徹夜の調査でフーケが隠れていると思しき場所を発見したこと。 以上のことを述べてから、学院長は教師達を見渡してフーケ討伐の志願者を募った。 ところが、手を上げる者はなかなか現れない。もしも失敗すれば、自分の名は地に 落ちる。或いは殺されてしまう可能性すらあるのだ。教師達がしりごみするのも、 分からなくはない。 不甲斐ない教師共の代わりに思わず杖を掲げそうになったキュルケだが、 ギアッチョに「出来ることをしろ」と言われたことを思い出して気持ちを抑えた。 誰も手を挙げないからと言っても、自分はただの生徒なのである。放っておけば 志願しなくとも教師の誰かは行かされる。トライアングルが数人がかりなら、 いくら土くれのフーケと言えども逃げ切れはしないだろう。わざわざ自分から 死地に赴くような真似をする必要はない。そう思っていると―― スッと杖を掲げた者がいた。杖の持ち主を確認して、キュルケは眼を見張る。 得体の知れない平民を使い魔に持つ少女、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールだった。 ギアッチョの信頼を取り戻すべく彼女が取った方法、それは土くれのフーケを 倒し、自分も役に立つのだと証明することだった。 「ちょっ・・・!あなた何やってるのよ!」 キュルケは慌てて止めに入る。 「うるさいわねキュルケ 見なさいよ、誰も手を挙げないじゃない!」 ルイズの言葉に教師陣はうぐっと息を詰まらせるが、彼女が言いたいのは そんなことではない。キュルケはちらりとルイズの後方に控える男、ギアッチョを 見た。ギアッチョは冷徹な眼でルイズの後頭部を見ているが、特に何も言う気配は ない。「ちょっといいのそれで!?」とキュルケはギアッチョを小声で問い詰める。 「あなたが言ったんじゃない!出来ることをしろって!」 しかしギアッチョは何も答えず、ただルイズを見つめている。 ダメだ、このままではルイズが一人で――正確には二人でだが――行かされて しまう。キュルケは迷った末に、覚悟を決めた。 「あぁあもう!微熱のキュルケ、志願させていただきますわ!」 出来ることをしろと言うのなら――出来る限りでルイズを守ってやらなくては。 そんなキュルケを、ルイズは不審そうに見つめている。 ――どこまで鈍感なのよこのバカはッ! キュルケは出来ることなら怒鳴りつけてやりたい気分だった。 そんな二人を横目で見て、タバサは観念したように杖を掲げる。思い思いの 感情で彼女を見る二人に、タバサは一言、 「心配」 と呟いた。その言葉にルイズとキュルケが感動していると、教師達から次第に 批判の声が上がり始めた。曰く、「子供が何を言っているんだ!」「生徒を危険に さらすわけにはいかないでしょう!」などなど。しかしオールド・オスマンがそれでは 誰か志願する者はいるのかと問うと、彼らは途端に静まり返る。 「やれやれ・・・ よいか、彼女らはただの生徒ではあるが、敵の姿を見ているのだ その上、ミス・タバサは若年にして既に『シュヴァリエ』の称号を持つ騎士であると 聞くぞ」 周囲にざわっと驚きの声が起こる。キュルケやルイズも驚いた顔でタバサを見て いた。老練のメイジはそのまま言葉を継ぐ。 「ミス・ツェルプストーはゲルマニアの高名な軍人家系の出で、彼女自身なかなかの 使い手であると聞く」 そして、と言いながらオスマンはルイズを見る。 「そして・・・あー・・・」 学院長はわずか言いよどんだが、すぐに威厳を取り戻した。 「ミス・ヴァリエールはかのヴァリエール公爵家の息女であり、将来有望なメイジで あると聞いている そして彼女の後ろに控えておる使い魔は、平民の身で ありながらあのグラモン元帥の息子を打ち負かしたそうではないか」 彼女らを派遣することに文句のある者は前に出よ、と言って締めるオスマンに、 意見を唱えるものなど一人も居りはしなかった。 ガラッ! ――いや、一人だけいた。その男は扉を開けて入ってくると、あっけに取られて いる教師達への挨拶と立ち聞きの謝罪もそこそこに、本題を言い放つ。 「この僕、ギーシュ・ド・グラモンを討伐隊に加えてはいただけないでしょうか!」 豊かな金髪とセンスの悪い服の持ち主、ギーシュであった。 「ちょっ・・・いきなり入ってきて何言ってんのよあんたは!」 最初にツッこんだのはルイズである。それにキュルケが続く。 「あなた病み上がりでしょう?何考えてるか知らないけどやめておきなさいよ」 しかしオールド・オスマンは彼女らを片手で制して言う。 「理由を聞こう、ミスタ・ギーシュよ」 「はい! 僕は先の決闘で、ミス・ヴァリエールの使い魔・・・このギアッチョに 敗北しました」 ギーシュは語りだす。周りの人間達は――ルイズやキュルケでさえ、ギーシュの 奇行に困惑していたが、ギーシュは全く意に介さず先を続ける。 「彼は決闘の前、僕に『覚悟』はあるのかと尋ねました それに対して僕は そんなものは必要ないと嘯き―― 結果は皆さん御存知の通り、完膚なきまでに 敗れ去りました」 そう言って彼はギアッチョに眼を向ける。その眼に迷いはなかった。ただし、彼の 膝は相変わらずガクガクと震えてはいたが。 「僕はその時から、『覚悟』という言葉に取り憑かれているんです 彼の言う『覚悟』 とは一体何なのか 彼と僕を・・・いえ、我々殆どのメイジを隔てている何か強大な 壁・・・僕はそれが『覚悟』なのだと思ってます そして、ならばその正体は一体 何なのか? 僕はそれが知りたい 理由はそれだけです・・・オールド・オスマン」 部屋中を沈黙が支配した。殆どの者はギーシュの言ったことの意味を量りかねて いるようだったが、オールド・オスマンはそれを理解したようだった。 「・・・なるほど それでは直接本人に聞こうではないか どうだねギアッチョ君 彼・・・ギーシュ・ド・グラモンの同行を許可するかね?」 決断を任されたギアッチョは、ふぅっと一つ溜息をついてから、魔物じみた双眸で ギーシュの眼を覗き込む。ギーシュはそのあまりの気迫に今すぐ謝って逃げ出し たくなったが、全身の力を集中させて――冷や汗をダラダラ流しながらも、 何とかギアッチョの視線を受けきった。 「・・・やれやれ 勝手にするんだな・・・ただしよォォーー てめーのケツはてめーで 拭け 間違っても仲間がいるからなんとかなるなんて思うんじゃあねーぞ」 「・・・あ、ああ!約束しよう!」 交渉は成功した。喜ぶギーシュを見てやれやれと言わんばかりに首を振る ギアッチョだったが、直ぐにオスマンに向き直ると、 「爺さんよォォ~~ ついでに聞いておくが」 一つ確認しておくことにした。「貴様、オールド・オスマンになんということを!」等と 言う声が聞こえるが全く気にしない。 「そのフーケとやらよォォーー・・・殺してもいいんだろうなァァ」 殺す。あまりにも淡々と吐き出されたその単語に、教師達はまたも固まった。 そして誰にも気付かれなかったが、ミス・ロングビルもその耳を疑っていた。 オスマンはピクリと眉を上げたが、直ぐにいつもの好々爺然とした顔に戻る。 「それは遠慮してもらいたいのう 処理が色々と面倒じゃからの」 その返答に、ギアッチョは面倒臭そうな顔をしたものの特に文句は言わなかった。
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「使い魔品評会が開かれます!」 食堂に集まった生徒達は、コルベール先生による使い魔品評会の知らせを聞いて大いに驚いた。 使い魔の品評会は、簡単に言えば使い魔自慢だが、今回はアンリエッタ姫殿下が使い魔の品評を行うという。 アンリエッタ姫殿下はその清楚さと、幼さを見せない凛とした姿に人気があり、国民の憧れの的と言っても過言ではない。 他国からの留学生であるキュルケ、タバサはその逆で、姫には興味がないと言った感じだ。 わいわいと騒ぐ生徒達の中で、ルイズは、本日何度目か解らないため息をついた。 「皆さん静かに! …先ほども言いましたが、品評会は明後日、今日と明日しか猶予はありません。 しかし、トリスティン魔法学院の生徒達は皆、普段から使い魔の能力を熟知し、 パートナーとして最大限の力を活かせるものだと信じております! 尚、今日と明日はオールド・オスマン氏のはからいにより、 授業はすべて中止となります」 授業が中止と聞いて、生徒達は喜び、やった!などと声を上げるものも多かった。 そんな中で、ルイズから向かって右端の方に座っている教師二人が、ボソボソと何かを呟いているのが見えた。 『二学年に、使い魔の居ない人が確か…』 『ヴァリエール侯爵の娘ですよ』 『ああ、そうでしたね』 『欠席は認められないとなれば、魔法学院にとっても恥ではありませんか』 無礼な教師二人の声は、とてもルイズまでは届かない。それどころか最前列に座っている生徒にも聞こえていないだろう。 しかし唇の動きがハッキリと見え、その言葉が頭に流れ込んでくる。 (何よあいつら、聞こえてないと思って好き勝手言って…) ルイズは悔しさに身を震わすばかりで、言葉が見えてしまうことに疑問を感じる暇もなかった。 やがて生徒達は、使い魔にどんな芸をさせようかと思案しながら食堂を出て行く。 後には思い詰めたような顔をしたルイズと、メイドのシエスタが残っており、 メイドは深刻な表情のルイズに声をかけて良いものか迷ったが、意を決して話しかけた。 「あ、あのっ」 「え? あ、この間の…えっと」 「シエスタ、です。この間は私のせいで、貴族様に、その、ご迷惑を」 緊張しているのか、言葉がたどたどしい。ルイズは笑いかけるように言った。 「あれはもう私の問題よ。貴方はメイドとしてちゃんと仕事をしただけじゃない」 「でも…」 「いいの、迷惑だなんて思ってないわよ。それに…」 ”恐怖で人を縛り付けるのはよくない。”と言おうと思ったが、言えなかった。 ルイズの姉エレオノールは威厳と実力を示し、人を従わせるタイプだった。ルイズはその姉が苦手で苦手で仕方がない。 しかし、苦手なエレオノール姉の姿こそ、貴族の理想だと思っていた。 もう一人の姉カトレアは、その穏やかな人柄と、どんな相手にも分け隔て無く接する優しさを持ち、人を従えるのではなく、人が慕ってくるタイプだった。 使い魔召喚に失敗したあの日から見続けている奇妙な夢。 それが、エレオノール姉への憧れを打ち消し、カトレア姉への憧れを強くしていく。 しかし、時には恐怖で人を従わせるエレオノールの振る舞いも貴族のあるべき姿だと思っているのだ。 ルイズは、頭の中の混乱を上手く言葉にすることが出来ない、と感じたのか、余計なことは言わないでおくことにした。 「何でもないわ。それよりも貴方、私のこと貴族様って呼ぶの止めてよ。ルイズでいいわよ」 「は、はい、ルイズ様」 ルイズは少し考えた後。 「様もいらないわよ」 とだけ言って笑いかけ、席を立った。 シエスタは立ち去ろうとするルイズに深々とお辞儀をしてから、 食器の片づけをしようとして、ルイズの席の食器を手に持った。 その時、足下に落ちていた誰かの香水入れを踏みつけ、バランスを崩した。 「!」 この学院で使われる食器は、貴族から見ればそれほどの価値はない。 しかし平民のシエスタにとっては大変なものだ。 もし趣味の悪い貴族に仕えるメイドならば、粗相をしたと言って殺されても不思議ではない。 手の中から滑り落ちる食器の感覚に、この世の終わりのような思いをしたシエスタ。 彼女の耳に食器の割れる音が届くかと思われたが… なぜか食器はテーブルの上に置かれていた。 「ちょっと、どうしたのよ。気をつけなさい…って、それモンモランシーの香水入れじゃない。こんな所にあったら危ないじゃないの」 そういってルイズは香水入れを拾い上げた。 そして、何が起こったか解らず呆然としているシエスタは、少しの思考の後『ルイズ様が魔法で何とかしてくれた』という結論に達し、ルイズに対する尊敬はますます高まっていくのだった。 そして、魔術学院の学生達が待ちに待った、使い魔品評会、その前日の夜。 ルイズはベッドの中で丸まっていた。 どうしよう、どうしよう、と、終わりのない自問自答を繰り返す。 サモン・サーヴァントは一回も成功していない。 このままでは使い魔品評会で恥をかいてしまう。 使い魔を呼び出すサモン・サーヴァントは、成功確率が高い魔法と言われている。 使い魔と主従の契約を交わすコントラクト・サーヴァントの方が難しいこともある。 どんな魔法を使っても爆発、つまりは失敗。 もしかしたら、自分は魔法の才能が無いどころか、メイジですらないのかもしれない。 数え切れないほど失敗を繰り返したルイズの手には火傷の痕が残り、頬にはかすり傷もついていた。 「退学…かな…」 最悪の結果を考えて、ルイズは自分が弱気になっていることに気付いた。 使い魔品評会には、使い魔がいなければ何も出来ない。 ギーシュとの決闘の時、私は魔法を使って勝ったはずだと何度も自分に言い聞かせた。 落ち込むばかりじゃいけない、まだ少しだけ時間がある。 ルイズは寝間着の上にマントを羽織り、杖を持って、最後のチャンスに賭けようと外に出た。 中庭は二つの月に照らされて明るく、神秘的な雰囲気を醸し出していた。 その中央に誰かが立っている。誰だろう?と思い近づいてみると、シエスタが二つの月を見上げていた。 「何やってるのよ、こんな時間に」 「!…ご、ごめんなさ…ルイズ様?」 「様はいいわよ、もう…幽霊でも出たかと思って驚いたじゃない」 「すみません…ちょっと、祖父のことを思い出していたんです」 「お爺さんの?」 「はい。私の髪の色は、ここでは珍しい色です」 そういえば黒い髪なんてあまり居ないわね、と心の中で呟く。 「祖父の生まれた土地では、黒い髪の毛の人しかいなかったそうです」 ルイズは自分の祖父の姿を思い出しながら、シエスタの話を聞いていた。 「…祖父は、遠く東の果てから来たと言っていました。村の人たちは誰も信じません。 でも、祖父はいつも月を見上げては、故郷の月は一つだった…って言っていたんです」 「月が一つ?そんなのどこに行けば見られるのよ」 不意に、ルイズの思考を別の記憶が流れ込む。 私は砂漠の中に立っていた。 昼間の熱気とはうってかわって、極端に寒くなる砂漠の夜。 仲間達と共に月を見上げ、ひとときの休息を味わう。 「村の人は誰も信じません。でも、私には祖父の言葉が嘘だとは思えなかったんです」 「信じるわよ」 「えっ?」 「そんな世界も、どこかにあるかもしれないじゃない」 その時のシエスタの表情は、今までに見たことのない、明るい笑顔だった。 「私も、月が一つの世界に、一度行ってみたいわ」 そう言ってルイズは月を見上げ、記憶をたぐり寄せる。 高速で巡る月。 加速する世界。 娘に降り注ごうとするナイフの雨。 ナイフを弾き、次の瞬間、切り裂かれる自分の体。 「あうっ!」 「え、る、ルイズさん!どうかしたんですか!?」 膝の力が抜け、倒れそうになるルイズを、シエスタが支えた。 「だいじょうぶ、だいじょう、ぶ、ホントに、大丈夫だから…気にしないで」 「でも、お顔が真っ青です。それに、こんなに震えて」 「月明かりのせいよ」 「違います。すぐに治癒の先生の元へお連れしますから」 「大丈夫。本当に大丈夫よ。ちょっと足が震えただけなんだから、部屋で休めばすぐ治るわよ…」 シエスタは口で答えるよりも早くルイズの体を支え、ルイズの部屋へと歩き出した。 夜中なので足音を立てぬよう、静かに歩く。 女子寮に入るのは初めてだったが、ルイズの案内で部屋の前まで来ると、フードを被った不審な人物が、ルイズの部屋の前で立ち往生しているのが見えた。 「ルイズ!ルイズ・フランソワーズ、どうしたの?そんな、辛そうにして…」 フードを被った人物は女性らしい細い声で、ルイズに声を掛けた。 シエスタはフードを被った人物が誰だか分からなかったが、ルイズの体を支えようとしたので、ルイズの友人だろうと判断した。 フードを被った女性はルイズの部屋を開け、シエスタはルイズをベッドに座らせる。 その間にフードを被った女性は扉を閉めて、罠を関知する魔法で安全を確かめ、サイレントの魔法で部屋の音を外に漏らさぬようにした。 「ルイズ…ああ、どうしたことでしょう。顔を真っ青にして…」 そう言いながらフードを外し、アンリエッタ姫殿下ルイズを抱きしめた。 「ああ、ルイズ! 懐かしいルイズ!」 「…ひ、姫殿下、いけません。こんな下賎な場所へお越しになられるなんて……」 「そんな堅苦しい行儀はやめてちょうだい。あなたとわたくしはお友達じゃないの!」 そう言って二人は、ルイズの体の調子を気にしつつも、過去の思い出話に花を咲かせた。 幼い頃、ルイズはアンリエッタ姫の遊び相手をしていた。利欲と陰謀の渦巻く王家と貴族の間で、アンリエッタ姫が唯一心を許せる友達がルイズなのだ。 「あら。ごめんなさい、貴方のことをすっかり忘れていたわ。私の友達を助けてくださったのに…」 さっきから一人放置されていたシエスタは、突然自分に声を掛けられて、それこそ輪切りにされてホルマリン漬けにされる程驚いた。 「あ、あの、ご、ご無礼を、いたしました…」 先ほどのルイズよりもひどく震えながら、アンリエッタ姫の前に土下座するシエスタ。 その態度から、アンリエッタはシエスタが平民だと見抜き、そして寂しそうな表情をした。 「貴方は平民なのですね。そんなに怖がらないで。私の友達を助けてくださったのですから、貴方に感謝することはあれど、罰することはありませんよ」 アンリエッタがそこまで言っても、シエスタは土下座したまま震えている。きっとパニックに陥っているのだろう。 ルイズは無言でシエスタを抱き起こす。シエスタの目にはハッキリと怯えが見えていた。 「…これは、私の至らなさが原因なのです」 ぼつりと、アンリエッタが呟き、そして話が始まった。 アンリエッタが諸侯を視察している時の話だ、道中、外を見ると、アンリエッタを歓迎する貴族と平民達が見える。 皆の喜ぶ顔はアンリエッタにとっても喜びだった。 しかし、その一方で、躾と称して平民を殺す貴族もいる。過剰な拷問を趣味にしたり、平民が貴族に逆らえないのをいいことに、平民の少女でハーレムを作る貴族もいる。 アンリエッタは、それがとても汚らしいものに見えた。 しかしそれを正せるほどの権威は、今の自分には無い。そんなことをすれば貴族達からの反感を買い、クーデターが起こってもおかしくはない。 ルイズという身分違いの友達を得ることで、アンリエッタは自分の本心を見せられる友達のありがたさを知り、身分の差を疎ましく感じるようになった。 それと同時に、自分は籠の中の鳥なのだ。貴族の暴虐を黙認し、その見返りとして貴族に守られなければ、何も出来ない弱者なのだと感じていた。 「それは姫様だけの責任ではありませんわ!貴族全員の…」 「わかっています。ですが、王家の者として、貴族が恐怖の象徴として扱われることに責任を感じているのです」 話を聞いていたシエスタも、少し落ち着いたのか、悲しそうな表情で姫を見た。 それは同情からくるものであり、無礼ではあったが、アンリエッタは数少ない理解者が増えた気がして、その視線に喜びを感じていた。 「あ、あのっ、難しいことはよく分かりませんけど…わたし、アンリエッタ姫様が、今の話で、好きになりました。ですから…あ、あの」 この時代、貴族に、しかも王族に話しかけるという行為すら咎められることがある。勇気を振り絞ったシエスタの言葉を聞き、アンリエッタとルイズは心底嬉しそうに笑った。 しばらく三人で談笑した後、アンリエッタは、 「それでは、明日を楽しみにしています、ルイズ、体をいたわって下さいね」 と言って、シエスタと共に部屋を出て行った。 結局、使い魔の召喚には成功していない、明日恥をかくのはもう避けられない。 けれども別の充実感があった、アンリエッタ姫にまた一人友達が増えたことだ。 一人だけでになり、寂しくなった部屋で、ふと窓の外を見た、 もし、使い魔がいたら、私はどんな名前を付けただろう。 そう考えたルイズの目に、銀よりも強い輝き、白金色の光をまとった流れ星が流れた。 『星 の 白 金』 「スタープラチナ」 ルイズは、小声で呟いた。 翌日朝、使い魔品評会が始まる直前まで、女子達の間では新たに出現した幽霊の話で持ちきりだった。 『月夜に中庭に立つ幽霊』 『廊下で足を引きずって歩く幽霊』 『フードを被った女性の幽霊』 ルイズは冷や汗をかき。 キュルケは呆れ。 タバサの洗濯物は今日も一枚多かった。
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■ 第一部 ├ ゼロと奇妙な隠者-1 ├ ゼロと奇妙な隠者-2 ├ ゼロと奇妙な隠者-3 ├ ゼロと奇妙な隠者-4 ├ ゼロと奇妙な隠者-5 ├ ゼロと奇妙な隠者-6 ├ ゼロと奇妙な隠者-7 ├ ゼロと奇妙な隠者-8 ├ ゼロと奇妙な隠者-9 ├ ゼロと奇妙な隠者-10 ├ ゼロと奇妙な隠者-11 ├ ゼロと奇妙な隠者-12 ├ ゼロと奇妙な隠者-13 ├ ゼロと奇妙な隠者-14 ├ ゼロと奇妙な隠者-15 ├ ゼロと奇妙な隠者-16 ├ ゼロと奇妙な隠者-17 ├ ゼロと奇妙な隠者-18 ├ ゼロと奇妙な隠者-19 ├ ゼロと奇妙な隠者-20 ├ ゼロと奇妙な隠者-21 └ ゼロと奇妙な隠者-22 ■ 第二部『風のアルビオン』 ├ ゼロと奇妙な隠者-23 ├ ゼロと奇妙な隠者-24 ├ ゼロと奇妙な隠者-25 ├ ゼロと奇妙な隠者-26 ├ ゼロと奇妙な隠者-27 ├ ゼロと奇妙な隠者-28 ├ ゼロと奇妙な隠者-29 ├ ゼロと奇妙な隠者-30 ├ ゼロと奇妙な隠者-31 ├ ゼロと奇妙な隠者-32 ├ ゼロと奇妙な隠者-33 ├ ゼロと奇妙な隠者-34 ├ ゼロと奇妙な隠者-35 ├ ゼロと奇妙な隠者-36 ├ ゼロと奇妙な隠者-37 ├ ゼロと奇妙な隠者-38 ├ ゼロと奇妙な隠者-39 ├ ゼロと奇妙な隠者-40 ├ ゼロと奇妙な隠者-41 ├ ゼロと奇妙な隠者-42 ├ ゼロと奇妙な隠者-43 ├ ゼロと奇妙な隠者-44 ├ ゼロと奇妙な隠者-45 ├ ゼロと奇妙な隠者-46 └ ゼロと奇妙な隠者-47 ■ 第三部『始祖の祈祷書』 ├ ゼロと奇妙な隠者-48 ├ ゼロと奇妙な隠者-49 ├ ゼロと奇妙な隠者-50 ├ ゼロと奇妙な隠者-51 ├ ゼロと奇妙な隠者-52 ├ ゼロと奇妙な隠者-53 ├ ゼロと奇妙な隠者-54 ├ ゼロと奇妙な隠者-55 ├ ゼロと奇妙な隠者-56 ├ ゼロと奇妙な隠者-57 ├ ゼロと奇妙な隠者-58 ├ ゼロと奇妙な隠者-59 └ ゼロと奇妙な隠者-60 番外編 『ゼロと奇妙な隠者と――?』
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一行はすぐさま学院の二頭立て馬車に乗り出立した。 道案内のロングビルが御者を買ってでており、後ろの座席にルイズと康一、キュルケとタバサが座っている。 「ねぇダーリン。盗まれた弓と矢ってどんなものなのかしらね。」 ルイズとキュルケの康一の隣争いは、キュルケの「ルイズってばそんなに康一にひっつきたいわけ?」の一言に、 「ご主人様は使い魔がへんなことしないように見張ってないといけないんだもん。」と言い張るルイズが勝利を収めていた。 「え、えーっと・・・どうだろうね。」 康一は答えた。 どんなのかはわかんないけど、ぼくあんまり弓矢にはいい思い出がないんだよね。」 康一は胸のあたりをさすった。 「一度死にかけたことがあってさ。」 キュルケが目を丸くする。 「まさか弓で射られたことがあるの?」 「うん・・・まぁね。」 虹村形兆に矢で貫かれたあのとき、仗助くんの助けがなければぼくはきっと死んでいた。 「あんたって意外と危ない人生送ってんのねー。」 ルイズが半分呆れて言った。 「いや、それまでは平和に学生生活送ってたんだけどね・・・」 「小さい頃からそういう経験してたからこんなに頼りになるのね。トリステインの男共も見習ってほしいわね~。」 キュルケは御者台に目を向けた。 「そういえば、ミス・ロングビルの魔法のクラスはどのくらいなのかしら?」 ロングビルは軽く振り向きながら答えた。 「私は土のラインです。でもみなさんと違って戦いの経験があまりないので、道案内以上のことはあまり期待しないでくださいね。」 「十分よ。それでもトライアングルの私とタバサ。それにコーイチはいるし、ルイズの爆発・・・あら、ちょっとした戦力じゃない。」 「私は爆発なわけ・・・」 ルイズは不満げだ。 「あら。あなたの爆発だって馬鹿にしたものじゃないわ。やれることがゼロじゃないんだから、少しは役に立ってもらわないとね。」 「やっぱり馬鹿にされてる気がするわ・・・。」 キュルケの軽口にルイズはため息をついて顔を背けた。 でもその背中にうれしい気持ちが隠し切れずに見えて、康一は思わず笑ってしまった。 「みなさん。そろそろ目撃証言のあった小屋につくころです。ここからは歩いていきましょう。」 ロングビルは道ばたに馬車を寄せた。 一行が馬車を降り、茂みの奥をのぞき込むと20メイルほど先に小さな小屋がある。 「昨夜、あそこにフーケらしき、ローブをまとった男が入っていったということです。」 ロングビルが声をひそめて説明した。 「まだ中にいるのかな。」 康一がつぶやきに、今まで空気のように静かだったタバサが答えた。 「気配はない。でも確証がない。偵察が必要。」 自然と皆の視線が康一に集まる。 「ぼ、ぼくですかぁ!?」 「あたりまえでしょ。使い魔なんだから。」 「適任。」 「ダーリン。がんばって!」 三人がそろって頷く。 「全く・・・こういうときだけ一致団結するんだからなぁ。」 康一は剣を抜いた。シュペー卿の剣である。 デルフリンガーは大きすぎて、扱いづらかったので、馬車に置いてきたのだ。 茂みを出て、小屋まで小走りで近づく。 壁際にしゃがみこむと、窓から中を覗いた。 (誰もいないな・・・) しかし中に隠れているかもしれない。 康一はACT2を呼び出した。 康一はあれから密かにスタンドと魔法について実験をしていた。 スタンドは本来、スタンド使いが触らせようとしないかぎり、スタンドでないものが触れることはできない。 つまり逆にいえば、スタンドはどこでもすり抜けて移動ができる。 しかし魔法学院の壁のように、固定化などの魔法がかけられている場所や魔法自体、そしてメイジの体はなぜか透過することができなかったのだ。 一方、魔法がかけられていない壁はやはりすり抜けることができた。それどころか平民にはやはりスタンドが見えていないことが分かったのだ。 (シエスタの目の前で手を振らせてみたのだが、見えている素振りも見せず、小首を傾げるだけだった。) ACT2は壁をぺたぺたと触る。透過できそうだ。魔法はかけられていない。 康一はスタンドを小屋の中に潜り込ませた。 こじんまりとした小屋である。 壁際にはいくつかの棚。箱。 ベッドなどはない。 (隠れ家じゃないみたいだな・・・) 人影もない。念のためにACT2に小屋の周りも調べさせたが、やはりどこにも人影はなかった。 剣を納め、陰からこちらを見守っている女性陣に首を振ってみせた。 皆ほっとした様子で康一の元に駆け寄る。 「もう逃げちゃったのかしら・・・。」 その中でルイズが残念そうにいう。 「いないにこしたことはないよ。」 相手はメイジが総掛かりで捕まえられない大盗賊である。 康一はそんなのを相手にして無事でいられるかどうか全く自信がなかった。 「では中の調査をお願いしますわ。わたしはこの辺りを調べて参ります。」 ロングビルは小屋の裏手へと行ってしまった。 もう調べましたよ。と言いかけたが、やめた。 言ったらキュルケやタバサにも「スタンド」について説明しなければならなくなる。 もう言ってしまってもいいとも思うのだが、今はその時ではない。これが終わったら説明しよう。 ロングビルを見送って、康一は小屋の扉を開けた。 中にいないのは分かっている。警戒することなく、小屋の中を調べにかかる。 女性陣三人も恐る恐るついてきた。 「ちょっとダーリン。いきなり入っちゃうなんて不用心じゃない?まぁ大丈夫だったみたいだけれど。」 うん、そうかもね。言葉を濁す。 棚の中にはそれらしきものはなかった。 棚の横にある木箱を開いた。 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 「こ、これは・・・・!!」 そこに入っていたのは『弓と矢』。そこいらで狩猟で使われているようなものとは明らかに違う。装飾がちりばめられた鏃。 そして康一には分かる。これは自分を含め、杜王町にたくさんのスタンド使いを生んだ、あの矢。あれと同じものだ! (まさかとは思った。でもまさか本当にあの『弓と矢』だなんて・・・) 『弓と矢』を手に取った。自分の中の「エコーズ」が、引き寄せられるようななにかを感じた。 「どうしたの?なにか・・・あっ・・・こ、これって。盗み出された『弓と矢』じゃないの!?」 ルイズが歓声をあげる。 「そうみたいね・・・でも、フーケはいないのに、なぜ『弓と矢』だけがここに残されていたのかしら。」 キュルケの疑問は誰もが思うところだった。 しかし、自分たちの任務は『弓と矢』の奪還であって、フーケの捕縛ではない。 「一度学院に帰るべき。」 タバサの提案に異を唱えるものはいなかった。 「それにしてもあっさり終わっちゃったわ。心配して損しちゃった。」 ルイズは小屋の扉を開いて外に出ようとした。 目と鼻の先で巨大な土のゴーレムが小屋を見下ろしていた。 「・・・・・・・」 「・・・・・・・」 「・・・間違えました。」 バタン 「ちょっとヴァリエール!なんで扉を閉めちゃうのよ。」 外が見えないキュルケが文句を言う。 「・・・いるんだもん。」 「はい?」 「いるんだもん!フーケのゴーレムがすぐ外に!目が合っちゃったんだもん!」 「そんな馬鹿なこと・・・。逃げだしたフーケがわざわざ戻ってくるわけないじゃないの。ほらどいて。」 キュルケがルイズを押し退けて扉を開けた。 遙か高みから見下ろすつぶらな石の瞳と目があった。 「・・・・・・・」 「・・・・・・・」 「お邪魔しました。」 バタン 「いたわ。目が合っちゃったわ。どうしましょうか。」 「どうしましょうかって・・・」 ルイズとキュルケは言葉につまった。 天井からぱらぱらという音が聞こえてくる。 まるで土や小石が屋根の上に落ちてきているような・・・。 どんな顔をすればいいかわからないまま、ルイズとキュルケは天井を見上げた。 「キュルケ。私すごくイヤな予感がするんだけど。」 「奇遇ね。あたしもよ。」 タバサがぼそっと言った。 「踏みつぶそうとしている。」 四人は目を合わせた。 「うわぁぁぁぁ!!」 「きゃぁぁぁぁあ!」 「いやぁぁぁぁぁあ!」 「・・・・・」 そこからは早かった。窓をぶち破って四人が外に転がり出るのとほとんど同時に、ゴーレムの巨大な足が小屋を踏み潰した。
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そもそも康一が戦いの場に戻ってきたときには、もう手遅れだったのだ。 距離は遠く、敵はすでに必殺の体勢を整えていた。 ガンダールブの俊足を持ってしても手が届かないほどに。 そう、ガンダールブなら間に合わなかった。 しかし康一はガンダールブである前に、スタンド使いだった! ズドォーン!!! 巨大な岩が打ちつけられる音がした。 死んだと思った。 でも、いつまで立っても衝撃が訪れないので、ルイズは恐る恐る目を開けた。 目の前にゴーレムの拳があった。 しかし、その半ばまでが地面にめり込み、動きを止めていた。 「射程距離5mニ到達シマシタ!S.H.I.T!!」 そのそばに浮かぶ、白い人影。 「あ、危ないところだった・・・!!ギリッギリ間に合ったよ!!」 そして拳とルイズの間に阻むように立つ康一の背中。 康一は振り向いて笑った。 「大丈夫だった?」 我慢していたものが溢れた。 怖くて、安心して、訳の分からないうちに気がつくと涙がこぼれていた。。 「こ・・・怖かったわよ・・・!早く戻ってきなさいよ!バカっ!!」 「ご、ごめん。」 康一は女の子の涙に狼狽えながらも謝った。 ゴーレムは急に重くなり、動かなくなった右腕を持ち上げようとして、逆にバランスを崩して膝をついた。 至近距離なので砂埃が舞い、二人は目を細めた。 「でも、そのへんはこいつを倒してからだよね。」 「・・・大丈夫なわけ?」 ルイズはずずっと鼻をすすった。 「うん。あいつを倒す方法を思いついたんだ。だから・・・」 ゴーレムは右腕を持ち上げるのをあきらめ、無事な左腕を振りあげる。 「ちょっとごめんよ!」 「え?きゃぁ!!」 康一はデルフリンガーを逆手に構え直し、ルイズを横抱えにした。 いわゆる「お姫様だっこ」というやつである。 降りおろされる左腕を横っ飛びに回避する。そして動かないままの右腕を駆け上がった! ルイズは慌てて康一の首にしがみつく。 康一はゴーレムの肩口から飛び上がり、ゴーレムの頭のてっぺんに着地した。ルイズを降ろす。 「な、なんでこんなところに来ちゃうのよ!」 ルイズが悲鳴をあげる。 「5m以上離レマシタ。3FREEZE、解除シマス。」 ACT3が忠告する。 自由になった土の巨人が立ち上がる。 康一はデルフリンガーをゴーレムの頭に突き立て、もう片方の手をルイズの腰に回し、振り落とされないように踏ん張る。 ゴーレムが立ち上がった。もっとも高い、頭のてっぺんは20m近い。 「こ、これ危ないんじゃないの?こんな高いところにいたら逃げられないじゃない!」 下を見るのも恐ろしいほどの高度。逃げ場はない。 「大丈夫だよ。この、『背筋が伸びた状態』がいいんじゃあないか。」 康一に動じる様子はない。 「君の使い魔を信じてよ。」 もうルイズは康一に全部任せることにした。 「もう・・・知らないからね!!」 ルイズは顔を押しつけるようにして、康一にいっそう強くしがみついた。 ゴーレムが頭の上の康一たちをとらえようと両手を伸ばす。 康一は高らかに叫んだ。 「たしかに逃げ場はない!でもチェックメイトだ!!ACT3!!」 「3FREEZE!!!」 ACT3は、康一が乗っている、ゴーレムの頭部の重量を激増させた。 ガンダールブの力を加えられたACT3による、0距離、最大出力の3FREEZE!! ズウゥゥゥン!!!! 抗すべくもない。 瞬きする間もなく、数百トンの重量を持たされた頭部は、それを支えるすべての部位を圧壊し、押しつぶした。 その衝撃で地面が陥没し、クレーターを形成する。 砂埃が、辺縁で巻き上がる。しかし康一とルイズのいる中心部では埃一つたっていない。 「すごい・・・・」 あっけにとられるルイズ。 康一が少し恥ずかしげに鼻の下をこする。 「へへ、だからいったでしょ。君の使い魔を信じてって。」 ゴーレムを倒した二人が、クレーターから出てくると、ミス・ロングビルが駆け寄ってきた。 「ミス・ヴァリエール。コーイチさん。大丈夫でしたか!?」 「ええ、ぼくたちは何とも。ミス・ロングビルこそ無事だったんですね!」 「はい。フーケらしき男に当て身を受け、気を失っていましたが・・・。」 ミス・ロングビルは首元を撫でた。 上空からシルフィードも降りてきた。 飛び降りてきたキュルケが康一に飛びついた。 「すごいじゃないのダーリン!あのゴーレムを倒しちゃうなんて!!」 顔を離していたずらっぽく笑う。 「でも、あの『能力』のことは今度しっかりと教えてもらうわよ。」 タバサも後を追って降りて来た。 「油断は禁物。術者が近くにいるはず。」 一行は周りを見回した。ゴーレムが動きを止め、森からは木々のざわめきや鳥の声以外の何も聞こえない。 「そういえば、『弓と矢』は?」 ミス・ロングビルが尋ねる。 「あ、それならここに。」 康一はゴーレムの土の中から掘り出した矢を取り出してみせた。足下にある弓も拾って、ロングビルに渡す。 「ああ、よかった・・・。」 ほっとするロングビルに、杖を拾ったルイズが言う。 「でも、その『弓と矢』は何の魔力もないと思うわ。ゴーレムに撃っても全然効果がなかったもの。」 「いや・・・」 康一は矢の不思議な文様を見ながら言う。 「それはそうやって使うものじゃないんだ。」 「え!?」 「コーイチさん。この『弓と矢』の使い方を知っているのですか!?」 康一は頷いた。 「ええ。まさかとは思っていました。この世界にあの『弓と矢』があるわけがないと・・・。」 「でも、間違いありません。それはぼくの知るあの『弓と矢』です。それと同じものがぼくにスタンド能力を与えたんです。」 ロングビルはごくりと生唾を飲み込んだ。 「そ、それでその使い方は・・・。」 「それは・・・帰ってからオールド・オスマンと一緒に説明します。みんなにももう知っておいてほしいことだから・・・。」 ミス・ロングビルは小さくため息をついた。 「・・・・そうですか。それじゃあしょうがないですね。」 気がつくと、杖を抜いている。数語の詠唱。 最初に異常に気がついたタバサが杖を構える前に、ミス・ロングビルの詠唱は完了していた。 あたりの土が盛り上がり、ミス・ロングビル以外の4人の体を拘束する。 「こ、これは!?」 康一も剣を抜く暇がなかった。 タバサが珍しく悔しさを滲ませて答える。 「『アース・バインド』土のトライアングル・スペル・・・。」 「そんな!ミス・ロングビルは土のラインのはずでしょ・・・!」 キュルケが叫ぶ。 タバサはミス・ロングビルから視線を離さない。 「うかつ・・・。彼女が土くれのフーケだった。」 ミス・ロングビルがにやりと笑った。大きく手を叩く。 「ブラボー。ブラボー。・・・・と言ったところかね。さすがはシュバリエ、頭の回転が速いねぇ。」 メガネを取り、斜に構えると、大人しそうな風貌がはぎ取られ、皮肉げなアウトローのそれへと変貌した。 口調もはすっぱなものへと変わっている。 「ミス・ロングビル!あなたがフーケだったんですか!?」 康一は裏切られたように思った。彼女は康一がこの世界に来てから最も信頼できる女性の一人だったからだ。 「そうさね。秘宝『弓と矢』を盗み出したはいいが、使い方がわからなくてねぇ。」 「捜索隊を出すなら使い方を知ってるやつが来るだろうと踏んだのに、まさかオールド・オスマンすら使い方を知らないと知ったときはどうしようかと思ったけれど・・・」 康一を見る。 「まさかあんたが知ってるとは、ついてるねぇ。」 康一はエコーズで攻撃しようと思った。 魔法と違って、体が動かなくてもスタンドは動かせる! しかし、その前にフーケが釘を刺した。 「おっと、コーイチ。それにそこの風竜も!ちょっとでも妙な動きをしたら、その場で全員殺すからね。さぁ、『弓と矢』について話してもらうよ!」 きゅいー!シルフィードが鳴くが、タバサを首を横に振った。 康一は思った。話すわけにはいかない! 話せば、彼女か、彼女が渡した人間が、虹村形兆や写真の親父と同じことをする!! ためらう康一にフーケは目を細めた。 「そんなに悩むなら、話しやすくなるようにしてやろうかねぇ。」 グググッ!! 康一以外の三人を締め付ける土の圧力が強くなる。 「いっ・・・・」 肺から空気を押し出され、そろってヒューヒューとした息を吐くばかりだ。 「わ、わかった。話す!話すから!」 「そうそう。大人しく話せば丸く収まるのさ。安心しな。私はあんたを気に入ってるんだ。話すなら誰も殺しはしない。」 康一は観念した。 知っていることを話す。 自分は日本という国・・・ハルケギニアからすると多分異世界からきたこと。 矢で胸を貫かれ、スタンド能力に目覚めたこと。 スタンドはスタンド使いによって一つ一つ同じものはないこと。 「つまり・・・」 フーケは『弓と矢』に視線を落とした。 「これで私を刺せば、私も「スタンド」が手に入るかもしれないってわけだ。」 フーケは矢尻を自分の腕に近づけた。 しかし思いとどまる。 「いや、あのエロジジイはこの矢が平民の手に渡れば、といった。メイジの私が使うのは危険かもしれないね。」 「それよりも、これを使って平民にスタンド使いを増やせば・・・。ふふふ、なるほど。それが世界の滅び、だね。高慢な貴族共が支配する世の中が終わるって訳だ。」 やはりそうだ。康一は思った。 この人は、この矢を自分の欲望のために使おうとしている!! 「しかし・・・」 フーケは康一の眉間に杖を突きつけた。 「スタンドは実際に見ているからともかく、異世界とはまた突拍子もないねぇ。適当言ってごまかそうっていうんなら・・・」 「証拠はあるよ!ぼくが日本から来たって証拠が!ルイズにはもう見せてる!」 フーケはうろんな眼差しをルイズに向けた。 ろくに息もできないルイズは、ただコクコクと頷く。 康一を拘束していた土の戒めが解けた。 「じゃあ、見せてもらおうか。ゆっくりとだ。ほかの三人はいつでも殺せるってことを忘れるんじゃあないよ。」 康一は黙って頷いた。 フーケを刺激しないように、ゆっくりと財布から100円玉を出して、目の高さに掲げてみせる。 「あなたが盗賊なら、これの意味が分かるはずだ。」 フーケは目を細めた。 白い輝き。銀貨?いや、感じが違う。鉄でもない・・・。 「こっちに放りな。」 康一は親指でコインを弾いた。 コインは弧を描いてフーケに飛んでいく。 しかし、飛ばした一瞬、緑色の何かが見えた気がした。 直前。とっさにフーケはコインを避けた。 盗賊の勘。康一は今、何かを企んでいた! 避けざまに杖を振る。再び土が康一を拘束し、しめつけた。 「妙な動きをするな。と、いったはずだよ。」 康一を睨みつける。 康一は何も言わず、黙って圧力に耐えている。 フーケはコインを杖でつついてみた。 コツコツ。 ・・・何も起こらない。このコインに何か細工をしたのかと思ったんだが・・・私の気のせいか。 フーケはしゃがんでコインを拾う。 康一は忌々しげに言う。 「あの吉良吉影のまねごとはしたくなかったんだけど。」 「え?」 フーケの指が、コインに触れた。 コインに張り付けられていた「文字」のエネルギーが爆発する! ドッゴォォォォォォーーーン!!!! 反応する間もない。 至近距離で発生した爆風に、フーケは上空高く吹き飛んだ。 フーケが吹き飛んだ爆風は、周りにそよ風一つ起こしていなかった。4人の戒めが解かれる。 自由になった康一はふーっと大きく息をつき、服に付いた土を払った。 「まぁエコーズの場合は文字の『実感』を与えるものだから、吉良吉影のキラークイーンとは少し違うんだけどね。」
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基本データ キャラクター名 リゾット・ネエロ スタンド名 メタリカ キャラタイプ 攪乱タイプ 操作難易度 ★★★ 声優 藤真秀 注意 操作難易度は公式サイトに記載のものとなります。 更新履歴 アップデート履歴 キャラ概要 スキル刃の生成 砂鉄の迷彩 磁力の縫合 狙う メタリカの侵入 その他リゾットの特性 ソロ戦の戦術 ペア戦の戦術 コメント欄 更新履歴 表示 21/09/01 ページ作成 21/09/08 実装されたため、「現在未実装キャラである」という注意文を削除 刃の生成が射出前にキャンセルできる旨を追記 ダメージを受けると透明化が解除される旨を追記 透明化中は億泰の空間けずりを食らわない旨を記載 メタリカの侵入のおおよその合計ダメージ量・1秒当たりのダメージ量・継続時間を記載 「メタリカ状態」の正式名称が「メタリカ侵入」であることが分かったため表記を修正 21/09/09 各スキルの使用方法のポイント等を追記 21/09/15 透明化中の各スキルによる影響を折り畳み内に格納 21/09/19 各スキルの画像を追加 21/12/08 Rev.12.02(2021/12/8)のアップデート内容を反映 21/12/13 表現の軽微な修正、一部の説明文を折り畳み内に格納 21/12/16 「狙う」と「メタリカの侵入」を整理 21/12/27 表現の修正 21/12/27 メタリカの侵入補足 21/12/28 メタリカの侵入の射程距離の記述「第一の爆弾と同じくらい」→「第一の爆弾より僅かに長い」に修正 21/1/10 補足・メス飛ばしがフルチャージに拘る必要がないことについて。ペア戦でのコイン優先度について補足 22/01/16 基本データにキャラタイプを追加、見出し名・重要度変更 22/01/17 削除された記述を復元 22/02/05 表現の軽微な修正 22/02/12 キャラ概要を修正、刃の生成・メタリカの侵入の説明文を簡潔に整理(全体的に、キャラの強さに関しては中立を保つよう、言葉のニュアンスを少し変更) 22/03/12 メタリカの侵入の画像差し替え(画質若干向上) 22/06/08 Rev.14.02(2022/06/08)のアップデート内容を反映 22/07/10 ソロ戦の戦術に超攻撃的スタイルを追加 22/07/15 メタリカの侵入の重ね掛けはできないことを追記 22/10/15 各スキルの説明文整理 22/10/16 着地硬直が発生してもメスを保持できる旨を記載 22/11/03 文字色・修飾を変更、基本データのフォーマット変更、精神力回復開始までの時間を別項目に移行 22/11/05 砂鉄の迷彩に追記、ソロ戦の戦術・ペア戦の戦術修正 22/11/06 誤字修正 22/11/18 メタリカの侵入の射程距離がしゃがみ歩き6歩分であることを追記、移動距離減少率が半分であることを追記、検証結果画像追加 22/12/03 スキル表の「射程」列を精神力消費量に置き換え、スキル表・各スキル説明文に精神力消費量追記 他キャラのスキルとの関連網羅(一部抜けあるので情報提供求む…) 22/12/07 磁力の縫合の回復スピードを明記(約1.8秒ごとに30ずつ回復) 22/12/30 スキル表に各スキルの画像追加 23/06/07 Rev.18.02のアップデート内容を反映 24/04/17 2024/04/17のアップデート内容を反映 アップデート履歴 24/04/17 アップデート詳細 「刃の生成」の1本目の生成時間を0.1秒短縮(2本目以降は変更なし) 23/06/07 Rev.18.02 アップデート詳細 「刃の生成」40m以上離れた敵にヒットした際のダメージ量を50%減少(200→100) 「砂鉄の迷彩」の消費精神力を20%減少(=最大持続時間5秒増加 20秒→25秒) 22/06/08 Rev.14.02 アップデート詳細 「磁力の縫合」をレベル1から解放されているように変更 「メタリカの侵入」の解放レベルを 4 → 3 に変更 ペア戦において、「砂鉄の迷彩」発動中のリゾットをペア相手が視認できるように変更 21/12/08 Rev.12.02 アップデート詳細 「砂鉄の迷彩」擬音語が敵に見える範囲を40%減少 「メタリカの侵入」射程距離を14%延長 「メタリカの侵入」ダメージ量を30%上昇(1秒につき100→130、総ダメージ量700→910) キャラ概要 5部『黄金の風』より、パッショーネの暗殺チームのリーダー「リゾット・ネエロ」が参戦。 通常攻撃は、撃つたびに溜め時間を必要とする遠距離攻撃…という非常にクセが強いものとなっているが、その代わりに威力が非常に高い。 エイム力に物を言わせてガンガン敵を倒していく戦法を好むプレイヤーが多い。暗殺者とは…? また、透明化して自身の姿を見えなくするR1スキル・足音の擬音が敵から見える範囲が小さいという性質も有しており、暗殺者らしく隠密行動を得意とする。 前述のクセの強さに加えて、障害物越しの敵への攻撃手段に乏しい・アルティメットスキルの瞬間火力が低い等の特徴から、操作難易度の高さはトップクラスとされる。 一方で使いこなせた時の強さは計り知れない、まさしく上級者向けキャラである。 スキル スキル名 コマンド ダメージ 精神力消費量 解放レベル 備考 刃の生成 R2長押し→離す 200(HS時280)×(1~5)※40m以上は威力半減 約66×(1~5) レベル1 遠距離まで届く通常攻撃連射できないが威力が非常に高い 砂鉄の迷彩 R1 - 1秒間に約40 レベル1 透明化し、敵からは視認できなくする 磁力の縫合 常時発動 - - レベル1 自動で体力が回復する 狙う L2長押し - - レベル1 狙いをさだめ、集弾力をアップさせる メタリカの侵入 L1長押し→離す 130×7 - レベル36で回数追加 敵の移動速度を減少させ、徐々に体力を減らす 注意 このページの操作説明はタイプA設定時のボタンになります。 刃の生成 擬音 発生条件 ドシュ 射出時 連射できないが威力が高い、遠距離まで届く通常攻撃。 R2ボタンを長押ししている間、自身の周囲に複数のメスを生成し(最大5本)、ボタンを離すと照準に向かって全てのメスを同時に射出する。 1本につき200ダメージ(ヘッドショット時は280ダメージ)。通常時は5本フルヒットで1000ダメージとなる。 ただし、40m以上離れた敵に命中した場合はダメージが半減する。 精神力の消費量は1本につき約66で、連続で生成できるメスの最大数は15。 ●その他細かい仕様 クリックorタップで表示 「上から見たカイロのDIOの館を長方形に見立てた場合、長辺の長さが大体40m」とのこと(by公式配信) ヘッドショット時は照準が赤く光り、「チャキーン」といった小気味良い音で知らせてくれる。 1.2秒ほど長押ししていると最大数の5本まで生成できる R2ボタンを離さない限りはいつまでもメスを保持できる高所から飛び降りて着地硬直が発生しても保持できる 射出する前にXボタンを押すと、メスを射出せずに攻撃をキャンセルすることができるその場合生成したメスは消滅するが、そのメス分の精神力が回復することはない メスを保持している間にドアor窓に近づいてXボタンを押すと、開けるorくぐり抜ける動作が優先されて行われる メス生成中及び命中時の擬音は無い 普通の射撃キャラより射程が短い。リゾットの射程は建物五軒分くらいの距離(メスの擬音が聞こえる範囲より数歩長い距離)。 使う上でのポイントは以下の通り。 それぞれクリックorタップで詳細を表示 1.置きエイムを活用する 「なんとなく照準を合わせた状態で連射していれば何発かは当たる」という射撃タイプのキャラとは違い、 刃の生成は正確に照準を合わせて一発一発を確実に命中させていく必要がある。 そこで重要になってくるのがいわゆる「置きエイム」である。 これは瞬間火力の高いリゾットだからこそ有効なテクニックである。 やり方は「敵の移動しそうな場所に照準を合わせてメスを5本生成した状態で待機しておき、敵が照準に重なると同時にR2ボタンを離す」というものである。 当たらない、と嘆いている人は是非活用しよう。 2.牽制時はフルチャージに拘らない フルチャージに拘る必要はなく、敵にたまたま遭遇してしまった時などは2~3本くらいを連続で撃つだけでも牽制になり近づかれにくくなる。 確かに敵を倒すことも重要ではあるが、リゾットは近づかれないことが絶対なので「当たったらラッキー」くらいのつもりで弾幕を張りながら逃げることも重要である。 家の入口越しや手前に柵があるところで使うと障害物に何発か吸われるので注意。 砂鉄の迷彩 擬音 発生条件 スゥ… 発動時 レベル1から使用可能なスキル。 R1ボタンを押すと発動。 このスキルを発動している間、自身の身体を透明化する。 自分の画面上ではリゾットの身体が薄く見えるが、敵プレイヤーからは完全に視認できなくなる。 発動中、1秒間に約40の精神力を消費する(最大で25秒間維持可能)。 ただし、足音などの擬音は消すことができない。 透明化解除条件 クリックorタップで表示 刃の生成を発動する(R2ボタンを押し始めた時点で透明化は解除される) R1ボタンを押す メタリカの侵入を発動する(L1ボタンを押し始めた時点で透明化は解除される) 精神力が切れる ダメージを受ける ↑これらの条件を満たさない限り透明化は維持されるため、透明化したままペア戦の相方を蘇生することも可能。 その他細かい仕様 クリックorタップで表示 敵が射程距離内に入ると照準が黄色くなるキャラがいるが、透明化しているリゾットが射程距離内に入っても照準が黄色くならない 透視アイテムによる透視中であっても透明化中のリゾットの姿は見えない 虹村億泰の空間けずりは当たらない(赤いガイドのままとなる)。 ホル・ホースの曲がる弾丸の追尾機能は発動しない ナランチャ・ギルガのCO2スキャンには探知される 岸辺露伴のピンクダークの少年は発動する 吉良吉影の第一の爆弾(罠爆弾)を踏んだ場合は起爆する 吉良吉影の第一の爆弾のガイドを透明化中のリゾットに合わせてもガイドが青くならない(お触り不可)通常、吉良吉影の第一の爆弾は敵の足元に仕掛けることができない(ガイドが赤くなるorお触りになる)が、透明化中のリゾットの足元に仕掛けることはできる 透明化中のリゾットの体力が半分以下であっても、吉良吉影の負傷者の熱感知によってサーモ表示されない 吉良吉影のシアーハートアタックに感知されない (身体に砂鉄をまとって温度をごまかしているから、とのこと。納得できない) リゾット・ネエロのメタリカの侵入が当たらない(赤いガイドのままとなる) 主な用法は以下の通り。↓それぞれクリックorタップで詳細表示 1.敵の攻撃をやり過ごす 透明化した状態でしゃがむと、敵はリゾットの位置を完全に見失うことになる。 敵に狙われた時、ある程度離れた位置で発動することで敵の攻撃をやり過ごすことができる。 また、一部のスキル・アルティメットスキルの追尾効果を無効化できる点も魅力。 乱戦中でいつ敵の攻撃を喰らってもおかしくない状況でも、透明化を使用→しゃがみながら敵から離れた位置に移動、を繰り返すことでヘイトの集中を回避することができる。 その一方で、敵との位置が非常に近い状態で発動すると逆にびっくりするほど狙われやすくなるため注意。 透明化したリゾットの移動の擬音が見えない→リゾットがしゃがみながら移動している→透明化を発動した位置からそれほど遠くに移動していない 刃の生成を発動すると透明化は解除される→透明化したままということはリゾットは攻撃の構えをとっていない …などの理由で、「とりあえずその辺殴っとくか」という感覚で周囲の敵が攻撃してくる。 これを回避するためにも、透明化時の擬音がどのくらいの範囲に見えるのかを把握しておき、時には砂鉄の迷彩に頼らずに立ち回ろう。 2.攻撃のために敵に接近する 後述のアルティメットスキル「メタリカの侵入」は強力だが、射程距離が短いという弱点がある。 それを補い、敵に気づかれないように接近する目的で使用することが多い。 敵のカメラ方向を推測することができるのなら、透明化して敵の背後に回り込み、敵の死角から刃の生成を命中させることもできる。 キャラ向きとプレイヤーのカメラ方向が一致するとは限らない本作では難しいが、敵の攻撃方向を確認することでカメラ方向を特定可能。一応。 3.敵を動かすor索敵 1.の用法とは反対に、あえて透明化時の擬音を敵に見せるという使用法。 2.の用法にも関連しているが、自分の近くでリゾットが透明化を使用した=自分に対してメタリカの侵入を発動してくる可能性があると捉えることができる。 そのため、屋内に閉じこもっている敵にその場からの移動を強要することができる。 また、それにより階段待ち防止にもつながる。 ただし、近距離タイプの敵は「スタンドONしたまま階段下に向かって定期的に攻撃する」という方法で対策を取り、その場から動いてくれないことがある。 リゾットは移動スキルを持たないため、これをされると攻撃しに行くことができないことが多い。 この対策を取られた場合、「こんな簡単な方法で完封された…」と捉えるか、「定期的に攻撃音を発生させ、他のプレイヤーに敵の位置を知らせることができた」と捉えるかはプレイヤー次第。 磁力の縫合 レベル1から自動で発動しているパッシブスキル。 最後にダメージを受けてから約7秒経過すると自動的に自分の体力が少しずつ回復する(約1.8秒ごとに30ずつ回復)。 最大700までなので体力が700以上なら発動しない。 なお、砂鉄の迷彩発動中は磁力の縫合が発動しない。 発動中は一定間隔で自身の体から青いエフェクトが発生するが、 これは味方だけではなく敵からも見える。 よって、青いエフェクトが出ているリゾット=体力が70%以下のリゾットということになり、敵から狙われやすくなるというデメリットもあるので注意。 狙う L2ボタンを押している間はエイムモードになる。 主な効果は以下の通り 移動速度が低下する 画面が拡大され狙いやすくなる 視点移動速度低下 射撃精度の向上 遠くにいる相手を狙うのであれば構えて撃つのが良いが、近距離でこっちに接近してくる相手に対して悠長に狙っている暇など無いので状況に応じて使い分けよう。 メタリカの侵入 レベル3 レベル6 使用可能回数 合計1回 合計2回(+1回) 擬音 発生条件 ドオォン 発動時 ゾロゾロ 効果時間中、継続的に敵の身体から発生 アルティメットスキル。 L1ボタン長押しでガイドを表示、ガイドが青くなった時にL1ボタンを離すと、敵に「メタリカ侵入状態」を7秒間付与する。 メタリカ侵入状態中の敵は以下の効果を受ける。↓それぞれクリックorタップで詳細表示 1.移動速度が減少する 移動速度が半分ほどになる。広瀬康一の3FREEZEより少ないものの、敵の行動をかなり制限することができる。 検証結果です カイロの大通りにて ↓通常時 約2秒 ↓メタリカ侵入状態 約4秒 2.ダメージを受け続ける ダメージ量は1秒ごとに130で、全て食らうと合計910。 このダメージはエリアダメージと同じくシールドを無視し、各種スキルによるダメージ軽減効果も無視する。 ガイドが青くなる距離、つまり射程距離はしゃがみ歩き6歩分程度。 ガイドが青くないときにL1ボタンを離しても、アルティメットスキル使用回数は消費されない。 ●その他細かい仕様 クリックorタップで表示 L1ボタンを離すまではXボタンで発動をキャンセルできる メタリカ侵入状態中の敵に使用することは不可能(重ね掛けはできない) 3FREEZEとは違って敵の攻撃射程は減少しない ゾロゾロという擬音はリゾットが出したものとして扱われる 効果時間中にメタリカの侵入を当てたリゾットがダウンor再起不能になると効果は終了する ハイDIOのロードローラー使用中はダメージが発生しない。またダメージが発生しない間も付与時間は経過するので、「メタリカの侵入」を付与されてから、ロードローラーを使用するだけで大幅にダメージを減らせる。 L2長押しをするとしゃがんでいる状態ならば、構えをとって立ち上がるモーションに切り替わる L2を一度押しだとしゃがんだままになる 使用するうえでのポイントは以下の通り。 それぞれクリックorタップで詳細を表示 1.最後の最後まで温存せず、さっさと使う 不発に終わることがなく、高いダメージを確実に与えることができる…が、 DPSは低い 敵の移動速度が遅くなるとはいえ、完全に動きを封じることはできない 敵の射程距離は減少しない などの特徴から、最終盤のエリアが非常に狭い状態で使ったり、自衛を目的として使うのにはあまり向いていない。 攻撃力の高いキャラが接近してきた際に使っても、そのままゴリ押しされて撃破されることもある。 そういった理由から、(状況にもよるが)他のキャラに見られる「最後の最後まで温存したウルトで最後の一人を倒して勝つ」という考えは捨て、さっさと使ってしまうのが得策。 生存エリア内の回復アイテムが枯渇し、削った体力を回復されないような状況になった段階で使用を検討し始めよう。 メタリカ侵入状態となった敵は移動速度が低下する。 また、徐々に体力が減っていく焦りから判断力も奪われる。 そのため必然的に他の敵に狙われやすくなり、早々に退場してもらうことができる。 自分だけではなく、他のプレイヤーにとっての倒したい順番をよく考え、上手く場をコントロールしよう。 2.砂鉄の迷彩を有効活用する 強力なアルティメットスキルではあるが、射程が短いという弱点がある。 これを補うためにR1スキル「砂鉄の迷彩」を有効活用しよう。 透明化しながら敵に接近して発動するのが基本的な使い方となる。 発動した後は早急に敵から離れよう。 メタリカの侵入を発動すると透明化が解除される点には要注意。 その他リゾットの特性 精神力回復開始までの時間:1.25秒 足音の擬音(ダダダ)が敵に見える範囲が、他のキャラより小さい。 しゃがみ移動の速度が他のキャラクターより速い。 ソロ戦の戦術 序盤 まず開幕はメタリカの侵入を解放するためにLV3を目指そう。 序盤~中盤は遠距離からの攻撃で敵を圧倒できる。 自分よりも射程距離が短いキャラを見かけたら積極的に攻撃を仕掛けに行っても良いだろう。 特に序盤はほとんどのプレイヤーがシールドを確保していない。 また、レベル2で解放されるスキルを持つキャラがスキルを使用できない状態にある可能性もあるため、撃破を狙いやすい。 中盤 基本的にはシールド回収を最優先。 不安なら建物の近くで砂鉄の迷彩を使用し、階段待ちによる被害を抑えよう。 その後はレベルが足りている/足りていないにかかわらず、相性の良い敵や終盤に残すとマズい敵を積極的に攻撃していこう。 ただし、距離を一気に詰めることができるキャラには要注意。 メタリカの侵入があるとはいえ、過信は禁物。 そういった敵には喧嘩を売らず、透明化時の擬音が敵に見えない範囲で砂鉄の迷彩を発動し、嵐が過ぎ去るのを待つのも手。 射撃タイプとの戦闘を無傷で済ませるのは至難の業。 また、特にソロ戦では射撃系通常攻撃持ちのキャラは終盤キツいことが多く、むしろ他のそういったキャラには最終盤まで生き残ってもらうためにスルーするのもアリ。 ただし極端な共闘は色々な意味でNG。 見かけたら倒さない程度に体力を削っておき、他の敵を狙っていこう。 終盤 範囲が狭まったらまずはどこに陣取るかを決めよう。 リゾットにとっての安全地帯は屋根上だけとは限らない。 他に射撃タイプがいないようであれば平地を陣取ることで、他の敵同士が屋内でぶつかるのを狙うこともできる。 安住の地を手に入れたら残りのキャラを確認し、そこから戦略をはじき出して行動していこう。 メタリカの侵入は強力だが瞬間火力に欠けるため過信は禁物。 残りの敵の体力を均等に削っていくこと・そして厄介な敵を優先して撃破することが重要。 砂鉄の迷彩は敵を動かすことができる性質も持つ。 屋内で閉じこもっている敵を他の敵にぶつけたり、そのキャラを倒したい他の敵に位置を知らせていこう。 また、厄介な敵にメタリカの侵入を当ててその場を立ち去ることで、その敵を倒したい他の敵に倒してもらうことも可能。 そのようにして、他のプレイヤーにとっての倒したい順番を考えることが非常に重要。 勝ち筋を見出したら・あるいは膠着状態が続くようであれば、エリアがそれなりに広い状態であってもメタリカの侵入をためらわずに発動し、状況を動かしていこう。 ペア戦の戦術 メタリカの侵入は序盤~中盤でも活躍してくれるため、相方のキャラ次第では優先してチップを2枚もらうようにしよう。 終盤までに1回使用しておき、1ペアを撃破して相方のチップを稼ぐのは非常に重要。 どんなキャラと組んだ場合でも、基本的にリゾットは序盤~中盤での攻撃役となる。 シールド集めが落ち着いたら積極的に攻撃し、自分・相方のチップを確保していこう。 ソロ戦では自衛能力の低さを痛感する場面も多いが、ペア戦では頼もしい相方がついている。 相方の近くで攻撃し、弱点をカバーしてもらおう。 終盤は相方と相談し、ソロ戦と同様に平地か屋根上どちらに陣取るかを決めよう。 透明化を利用して先行して移動し、安全な建物を積極的に相方に教えてあげよう。 リゾットの場合は相方と密接して行動していると、せっかくの透明化が意味をなさなくなってしまう。 透明化中は一時的に相方と少し離れて行動するようにすると良いかもしれない。 最後の敵は基本的には相方に倒してもらうケースが多いだろう。 メタリカの侵入は早めに発動しておき、相方が戦いやすい状況を作っていこう。 コメント欄 実際リゾットはIQ高くないと勝てん。 -- (名無しさん) 2024-03-26 12 41 42 アヴはバインドで精神力消費するからね。リゾット以外のキャラ使った事ないのかな?DIOとか使ってみ?とぶぞ! -- (名無しさん) 2024-03-26 12 59 45 外す可能性のあるジェイルとか3freezeと違って確定ヒットのメタリカの侵入で2秒スタンはヤバすぎるのでは…?笑 -- (名無しさん) 2024-03-26 13 30 37 目腐ってるだの頭使えだの口が悪ぃな クソ頭悪い強化案提示してる奴がよく言えるわ 好きなキャラで勝てないのは嫌とか ガキじゃねぇんだから別のキャラ使えや -- (名無しさん) 2024-03-26 15 07 52 荒れてんなぁ…… -- (名無しさん) 2024-03-26 15 19 10 強い弱いで言ったら確かに弱いと思う。(猛者リゾットは別だけど、それはどのキャラでもそう) ただ「リゾット強化待望派」の票数が「リゾットは弱いままでいいよね派」を上回る日は来ないでしょうね。 -- (名無しさん) 2024-03-26 15 22 40 めっちゃ荒れてるじゃんww 定期的に喧嘩腰で変な案出す人いるからスルーした方がええで 前にもフーゴのところに出没して荒れてたし -- (名無しさん) 2024-03-26 15 35 21 「仮に」内容自体はまともなことを言ってたとしても 攻撃的な発言だと負のイメージしか無いんだよね~ まあ、平和に行こう平和に -- (名無しさん) 2024-03-26 17 29 30 キャラゲーで好きなキャラで勝ちたいってのは当たり前の感情では……? -- (名無しさん) 2024-03-26 17 51 16 (笑)個人的には次に露伴あたりを荒らしてもらってもいいよ -- (名無しさん) 2024-03-26 17 53 02 その熱量のリゾット愛がどっから湧いてくるのか知りたい -- (名無しさん) 2024-03-26 17 54 33 ガチで強化案考えるなら、構え中(メス生成中)の移動速度を改善とかどうだろう?上げ幅次第で強化の度合いも調節できるし、結構自信あるアイデアなんだが。 -- (名無しさん) 2024-03-26 19 27 22 実際リゾットで勝つ時ってメスで決まる事のほうが多くない?アルティメットスキルとかいうネーミングに惑わされず、コイツに関しては通常攻撃がどうしようもなく機能しない場面でのサブウェポンとして考えるのが妥当かと。 -- (名無しさん) 2024-03-26 19 31 58 リゾットを含む射撃キャラはコロッセオ実装後キッツイのは確かだね。射撃キャラの使用率が多分過去一で低いから、射撃キャラ同士で結託っていう最大の勝ち筋を潰されたのがマジで痛いと思う。勝率のバランスを整えるなら個々の強化以外の方法でも射撃キャラの使用率を上げる必要がありそうだけど、チャレンジイベントもディーラーズ・チャレンジでこなせるし。どうする運営? -- (名無しさん) 2024-03-26 20 41 37 フーゴん時もそうだけど普通に会話してる人まで巻き添いになってる感がなぁ… 多分だけど荒らしてる人はリゾット大好きっ子じゃなくてただのステルスネガキャンじゃないかな -- (名無しさん) 2024-03-26 20 52 28 いいこと思い付いたんだけど、 通常攻撃の10%の威力を体力に直接入れられるようにしたらどうだろう。 通常攻撃で削ってからメタリカで勝ち筋が出来るし 近接もそのコンボを警戒して近づいてこなくなると思う -- (シンプルな丸刈り) 2024-03-27 09 27 54 いやーそれは流石にやりすぎでは…… -- (名無しさん) 2024-03-27 11 46 22 ↑2 普通に良案だと思う -- (名無しさん) 2024-03-27 16 48 19 メスが1本当たったとして、180ダメをシールドに、20を体力に入れるって事?確殺はしやすくなりそうだけど処理大変そうだな…… -- (名無しさん) 2024-03-27 19 25 54 このキャラ意外とコロッセオ行けるね 狭い狭いとは言いつつ広いエリアもそれなりにあるし入り組んだエリアも迷彩掛けて逃げ込むにはかなり役立つ 広い場所陣取って撃ち続けなきゃいけない射撃タイプとは違って一撃離脱が基本のリゾットにはこのマップの作りはかなり合ってる気がする -- (名無しさん) 2024-03-27 21 34 38 多分あなたのセンスが凄いだけです。 -- (名無しさん) 2024-03-28 19 29 11 一撃離脱……? -- (名無しさん) 2024-03-28 23 38 20 このキャラ不意打ちぶっ刺して逃げてを繰り返すのが基本かと思ったが違うんか…? リゾットは家に立てこもられるとやることないけどコロッセオは籠城できる場所一切ないから仕事無くならないのが良いと思うわ 試行回数重ねた訳じゃないけど直感的には「やりやすいな」と感じた -- (名無しさん) 2024-03-29 01 42 35 リゾットは平地で補足した相手に永遠に粘着するキャラだろ だから無駄にヘイトも高いんだよ -- (名無しさん) 2024-03-29 13 52 28 チップ欲しかったり残したくない相手でもう一押しなら粘着する事もあるけどあんまり1人に引っ付いてても旨みなくね? 解放要素クソ雑魚ウルトしかないんだし それより敵同士をぶつけて漁夫るのが勝ちパターンでしょ どちらにせよ引きこもってる相手は動かす手立てがないからそれが無い農場とコロッセオはやりやすいと感じた -- (名無しさん) 2024-03-29 16 09 41 混戦になりがちなコロッセオだと透明化はアドバンテージでかい。戦いが起きやすいから、敵の体力が少ないことも多い。射撃と川尻が減ってるのもあって前シーズンよりかはよっぽどマシだと思う。 -- (名無しさん) 2024-03-29 16 31 03 それも1つの考え方ですねー 自分は終盤厄介なキャラならチップMAXでも無理しない程度に追いかけ回して倒してますね 他の射撃と違ってただ削るんじゃなく倒し切れる火力持ってるのがリゾットの長所なんで。 序盤中盤でいかに厄介なキャラ消しとくか、みたいなのがリゾットだと勝手に思ってます。 逆に終盤は削りとか敵同士ぶつけるとか考え始めますけど -- (名無しさん) 2024-03-29 16 31 20 全然関係ないけども 「使用難易度が非常に高い」 「効果の強さを実感するのに相当なプレイヤースキルを要する」 こういう表現凄いですよね 物は言いようというか 全然関係ないけども -- (名無しさん) 2024-03-29 21 42 23 コロッセオと農場は窓がないから透明化した後の上下移動で擬音出やすくて困る 着地音も小さくしてくれ -- (名無しさん) 2024-04-10 00 14 48 1本目のナイフ生成速度0.1秒減少(苦笑) -- (名無しさん) 2024-04-11 07 40 06 実際リゾット強化どうなんでしょうね?ちょくちょく使っている身としては少しワクワクする -- (名無しさん) 2024-04-11 22 45 50 引き撃ちの回転率上がるのはだいぶ嬉しいかも 透明状態からの奇襲も早くなるし -- (名無しさん) 2024-04-12 04 34 48 今までは1〜2本で飛ばすより5本溜めて飛ばし続けた方がダメージ効率が良かったけど、今後は最悪1本ずつ飛ばしてもダメージ効率あんま下がんない。的な事でしょうか? -- (名無しさん) 2024-04-12 07 35 40 たかが0.1秒と思うかもしれないけど 今まで長押ししないと撃てなかっただけに命中率は上がりそう -- (名無しさん) 2024-04-13 10 11 28 リゾットがいると試合がつまらないし、そもそもリゾットと野良で組まされるのが嫌すぎる -- (名無しさん) 2024-04-13 23 33 55 今までの単発射ち×3が「うんしょっ!、うんしょっ!、うんしょっ!」だったとしたら、「うん!、うん!、うん!」になるかんじかな -- (名無しさん) 2024-04-16 06 07 06 だいたい今のアヴドュルよりちょい遅いくらいの連射速度ってところか? -- (名無しさん) 2024-04-16 06 11 06 一発撃つだけなら、まあアヴと同じくらいだと思うけど。 リゾットって普通の射撃キャラと違って射撃後硬直するから連射するとなると初期アヴみたいな連射間隔になるんじゃね? あんまリゾット使わんから知らんが。 -- (名無しさん) 2024-04-16 06 34 18 ああそっか、「うんしょ!うんしょ!」じゃなくて「うんしょバシュンッ!うんしょバシュンッ!」か、じゃあ「うんバシュンッ!うんバシュンッ!」か………強いんかこれ? -- (名無しさん) 2024-04-16 06 42 56 0.1秒めちゃくちゃでかい。神強化 1,2本撃ちが速くなって平地で圧かけやすいし 撃ち合いやガード抜きもだいぶ楽になった -- (名無しさん) 2024-04-18 01 12 51 名前 コメント すべてのコメントを見る